刺さない鍼(接触鍼)と「気の病」
2021/07/06
なみはや支部のFacebookページで先日投稿しています「刺さない鍼」について
もう少し患者さま視点からお伝えしてみようと思います。
鍼治療と言うと、一般的には身体に差し入れる鍼をイメージする人が大多数のようです。
実際、テレビなどで鍼治療を紹介するような場面では、そのような施術風景が映し出されます。
そこから「鍼は痛い」とか「怖い」と言うマイナスイメージを持たれることが多々あります。
鍼は身体に刺入しないと効果が出ないと考えている鍼灸師が多いように感じています。
それは患者さまも同じで【鍼=刺す】ものだと考えられる方が多いです。
しかし、刺さない鍼(接触鍼)でも大きな効果が出ます。
当院でも8割近くがこの接触鍼のみで治療をしています。
東洋医学には【気の病】と【血の病】という捉え方があります。
気の病とは主に機能的、つまり働きの不具合が生じている状態を意味します。
自律神経失調症やメンタルの不調などです。
これに対して血の病とは、形態としてハッキリと現れている症状を指します。
変形性膝関節症など肉眼的にも病変がわかるような不調です。
刺さない鍼に適した症状は【気の病】の方です。
実際の臨床では、明確に【気の病】と【血の病】と2つに分けることができる場合もありますが、混在している場合も多くあります。
【気の病】を整える治療、とりわけ皮膚表面の気を整えることを目標に施術する場合、鍼は身体に刺入する必要がありません。全く刺さないわけなので痛みはありませんし、むしろ心地よい爽快感が得られるものなのです。
この事がもっと一般的に知られるようになると、鍼治療に躊躇している方にも鍼の良さを実感していただけるのではないでしょうか。
その普及こそ、私たち鍼灸師の担うところにあるのかなと思っています。