梅雨どきの体調不良《湿邪・水滞(水毒)・痰湿》
2023/06/08
梅雨入りして湿気とともに暑くなり出した今頃は、身体の暑さに対する調整機能もしっかり働いていない状態なので、熱中症など注意が必要です。
しかも梅雨どきは、どんな人でも体の中の水分を発散させにくくなります。
毎年これぐらいの時分になるとお伝えしているかもしれませんね。
この時期の湿気と気温に対する養生が必要です。
「湿邪」
身体が重だるい・手足のむくみ・頭重感・食欲不振など、東洋医学では「湿邪」と言いますが梅雨の時期に起こりやすい症状です。
私たちの体は多くの水分で成り立っています。外気の湿度が高くなると、水を処理する機能が低下している人は特に体調が悪くなりがちです。
「水滞(水毒)」
「湿邪」によって水が体のいろいろな部位にとどまることで症状を引き起こすことを「水滞(水毒)」といいます。もともと体質的に水はけが悪い水滞(水毒)の傾向がある方は、湿邪によってさらにその傾向が強まり、症状が悪化することが多いので、とくに注意が必要です。
水滞(水毒)体質となると、胃腸症状やめまいなどの症状が出てくることもあります。なお、花粉症などの鼻炎や気管支喘息なども関係が深いと言われています。
「痰湿」
身体の中に、余分な水分や脂肪が溜まってしまっている状態を「痰湿(たんしつ)」と言います。痰湿とは粘る性質を持つ不要な液体で、湿気の様なものです。酒・肉類・乳製品など粘る性質のものを取りすぎたりそれらを排出する為の栄養摂取が足りないと溜まってきます。
また、胃腸が冷えて弱ると、痰湿を排泄する力が弱るため痰湿が溜まってきます。
東洋医学的には、痰湿は痺れの原因にもなります。 痰湿の体質は、放置してしまうと坐骨神経痛や腕のしびれ、重度の腰痛、ぎっくり腰、めまいなどにつながります。
経絡治療では、この時期は特に消化器系統を司る脾像と胃の経絡を重視して治療します。
主に脾胃の働きを強化するために、脾経と心包経(しんぽうけい)を調整します。また、熱から心を守るために、水を司る「腎」の経絡も合わせて調整することが多いです。腎は温めることで強化できるので、温灸などで腎を補陽します。ご自分でお灸をされる方は、おへそを温灸で温めるのも良いですよ。
また当院で行っている夢分流腹部打鍼術は胃腸を整え水邪を取り除くことに優れているので積極的に使用するようにしています。
排尿・排便も大切です。塩分を控えて、腎臓の働きを強める(カリウムと食物繊維が多く含まれている)山芋、自然薯、ゴボウ、レンコンなどの根菜や芋類、利尿作用がある豆類を積極的に食べるのがおすすめです。
あとは、汗をかくのが一番です。適度な運動と入浴の習慣を心掛けましょう。これから本格的な暑さもきますので、熱中症対策としても有効ですね。