不眠に「迷走神経を冷やす」が話題に
2022/06/24
つい先日、webニュースで見かけた記事が気になりました。
若者を中心としたTikTokのウェルネス・トレンドで話題になっているのだそうです。
その内容は、迷走神経を冷やすことで睡眠の改善につながったというもの。
「氷のうを胸の中心に15分以上置いたら、眠りにつくことができた。迷走神経を冷やすことで気持ちが落ち着き、不眠症に打ち勝つことができた。」と説明されていました。
ネットニュースやコラムはどうも事実性があやふやな部分が多いですが、これは部分的に間違いだと思います。
確かに不眠の時は胸や頭頚に熱を持ち、これを冷やすことで入眠を奨める作用はあります。(人間は深部体温が下がる時に眠気を感じるため、ただ眠気を誘発しただけということもありますが)
でも【冷やすこと=迷走神経を冷やしていること】にはなりません。
むしろ【交感神経の緊張を鎮めている】と捉えた方が良いです。
東洋医学では不眠を身体の陰陽の気のアンバランスとみて治療しています。
多くの場合、陰気の弱りから、相対的に陽気の方が昂ぶり熱となって頭部に停滞する(気が上がっている)ことで、眠れない状態になっています。
胸や頚には腹側迷走神経が走っていますが、これの働きが低下して交感神経の緊張を起こして不眠になっています。
迷走神経はむしろ温めてやる方がその働きは良くなります。でも不眠で眠れないときは部分的に冷やす方法が良いですね。
鍼灸でも同様な目的で施術します。
腹部は背側迷走神経の支配なので、こちらも冷やすと良くなく、むしろ暖めるべきです。腹部の緊張が取れると安心感が増すので不眠にも良いですよね。
肝と腎の陰気を増やし、上半身に停滞している陽気による熱を冷まして、気を引き下げるように治療します。