東洋医学と「易」
2020/10/02
今月の支部会の臨床雜話で触れた「易」の話をしてみたいと思います。
「易」というと、夜の繁華街の薄暗いところに机を置き占っている(ちょっと怪しげ?な)光景を思い出すことでしょう。易は確かに占いです。
しかし、易というのは、易学、易経。学問であります。
易は、地球上にある万物全てのうつろいを文字に表した最初の学問であり、「陰」と「陽」という符号を組み合わせたものです。
坤(地)、艮(山)、坎(水)、巽(風)、震(雷)、離(火)、兌(沢)、乾(天)
地から天まで、この8つの要素が、自然と人生を支配するものだと古代より考えられました。
(陰陽論の起源となる易経は紀元前7世紀頃、周の文王とその子、周公により成立したとされています。)
坤から乾は、地から天までの8つの要素を文字としてあてたものです。
「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」という言葉がありますね。
八卦とは、陰と陽を示す算木の組み合わせで得られる8種の形に由来しています。
この八卦と八卦をかける(八卦の8種類を2つ組み合わせて)8×8=64通りのパターンに分類されます。八卦は各々意味する事象を備え、この解釈によって占いが可能となるわけです。
ちなみに易者さんによる占いでは筮竹(ぜいちく)と呼ばれる竹の棒を使って占います。
東洋医学と易の話をすれば、一番良いとされている「地天泰」は
下の卦:陽が三つの乾天 / 上の卦:陰が三つの坤地、になっています。
この状態であれば、上の陰は下がり、下の陽は上って、陰陽の向流が行われます。
易では陰陽の向流で、物事が変化し発展すると考えています。
この反対の「天地否」では陰陽の向流が起こりません。
鍼灸治療も「天地否」の状態から「地天泰」の状態にするのが目標になりますね。