「光る君へ」道長の糖尿病
2024/12/20
大河ドラマの「光る君へ」が、この前の日曜に最終回を迎えました。
毎週楽しみにしていたので寂しいです。
患者さんの中にとても熱心な方がいますが、今年の大河ドラマは面白かったですね。
「光る君へ」関連で気になるネットニュースがあったのですが、
<光る君へに登場する藤原道長は、日本史に明確な記録が残る日本最古の糖尿病患者である>
という内容です。
ストレス・運動不足・食生活の乱れは現代人特有の悩みではなく、平安時代の最高権力者で栄耀栄華を極めた藤原道長にもそれは当てはまり(政治闘争でストレスが重なり、運動不足、美酒美食に明け暮れ)中年過ぎからは糖尿病に苦しみ悲痛の晩年を送ったという記録が残っているのです。
道長は1027年、61歳で亡くなっています。
そういえば、道長の二人の兄も糖尿で描かれていましたね。
百人一首にもある有名な和歌
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」
(この世は自分のためにあるようなものだ。満月のように何も足りないものはない、の意)
【わが世の春】を謳歌した歌かと思われていますが、現代では様々な解釈があります。
「后となった娘(道長は娘3人を宮中に送り込んだ)たちと宴席の皆と交わした盃は欠けていない」という
謀略も交えた熾烈な権力闘争を勝ち抜いたと誇る説・・・
視力障害をきたし、「満月が次第に欠けていくように」命を削っていったという説・・・
後者は糖尿病の見方ですね。
ちなみに糖尿病は、現在では「ダイアベティス」という呼称になったようです。
※ダイアベティス(Diabetes)
2023年9月22日、日本糖尿病協会と日本糖尿病学会は、糖尿病の新たな呼称として「ダイアベティス」を提案。
呼称の変更は珍しいことではなく、「精神分裂病」→「統合失調症」、「痴呆」→「認知症」、「高脂血症」→「脂質異常症」に改められています。
呼称を代えても何も変わらないようにとは思いますが、「糖尿」という漢字に象徴される怠慢さなどマイナスイメージが強いために偏見や差別を生むこともあり、患者さんが社会生活を送りにくいから、という指摘や、糖を含む尿が出ても糖尿病とは限らないという事実から、糖尿病の新たな呼び方を検討し、英語表記の「ダイアベティス」とする提案がなされたようです。
藤原道長は、第15回国際糖尿病会議(2014年:神戸市)の記念切手にもなっています。
※道長の肖像と六角形のインスリン結晶のデザインが描かれています。