ひな祭り 菱餅に込められた願い
2021/03/03
本日 3月3日は 桃の節句、ひな祭りですね。
本来は五節句のひとつ、「上巳(じょうし)の節句」といいますが、ひな人形を飾り、女の子の健やかな成長を願う「ひな祭り」として親しまれています。
五節供の「節」とは、唐時代の中国の暦法で定められた季節の節目のことです。
古代中国では、3月3日や5月5日のように奇数(陽)の重なる日は、おめでたい反面、陰に転じやすいとされ、邪気を払う行事が行われていました。
1月7日の「人日(じんじつ)の節句=七草がゆ」
5月5日の「端午(たんご)の節句=菖蒲」
7月7日の「七夕(たなばた)の節句」
9月9日の「重陽(ちょうよう)の節句=菊」
と、季節の変わり目に邪気をはらい、無病息災を願う年中行事であります。
ちなみに「節句」が一般的ですが、古くは「節供」と書かれていました。
季節の変わり目にあたって祝いを行う節日(せちにち)に、供御(くご=飲食物)を奉る、ことから「節供」としたと考えられています。
ひな祭りの供御といえば、「菱餅」や「ひなあられ」ですが、「ひなあられ」は行事の際に「菱餅」を砕いて外に持ち出したことが始まりだとかで、色も菱餅に由来しているのだそうです。
菱餅といえば現在は三色団子にみられる、緑、白、桃色、と春らしいパステルカラーの3色が重なった菱型のお餅をいいます。
もともとは古代中国で「上巳節」の時に食べていたハハコグサ(母子草:春の七草での御形(ゴギョウ))の餅がルーツで、日本に伝わる際に良い香りで邪気を払う力があるとされる、ヨモギを使った餅になりました。ひな祭りによもぎ餅(草餅)を食べるのはこの名残りです。そのあたりの話は 「春のおやつは草餅(よもぎ餅)!」 で書いています。
中国ではヨモギは寿命が延びるという思想から、春の節句つまり3月3日に用いられるようになりました。
この緑のよもぎ餅に、江戸時代「菱の実」を入れた白い餅が加わりました。
そして明治時代、クチナシを入れた赤い餅が加わって3色の菱餅になりました。
それぞれの色の意味は
・緑・・・ 健やかな成長(ヨモギの厄除け効果から)
・白・・・ 子孫繁栄、長寿、純潔(菱の実の血圧を下げる効果から)
・桃色(赤)・・・ 魔除け(赤は魔除けの色、くちなしの実の解毒作用から)
どの色にも健やかな子に育ってほしいという願いが込められています。
※地域により、菜の花を表す黄色を加えて4色にする場合などもあるとか。
また、色を重ねる順番で春の情景を表現しているともいわれます。
下から「緑・白・桃色」というのは、「雪の下には新芽が芽吹き、桃の花が咲いている情景」だそうです。
お菓子として美味しいだけでなく、縁起よく、見た目も春らしくて華やかです。
季節の変わり目の邪気を払うための節句ごとに、「自然の力にあやかり、健康で幸せに過ごせるように」という願いがこめられています。