癒やしホルモンと鍼灸
2016/06/02
昨日放送されたNHKのガッテンでは、オキシトシンについて取り上げられていまし
た。
身体に触れることで、脳内ホルモンであるオキシトシンの分泌が増え、痛みや高血圧
そして認知症にも高い効果が現れるという内容でした。
オキシトシンは、愛情ホルモン・癒やしのホルモンとも呼ばれ、私たちに幸福感や
安心感ストレスからの解放をもたらしてくれます。
これは皮膚に触れられた触覚刺激が脳の視床下部に伝わり、この視床下部から脳内ホ
ルモンのオキシトシンが分泌されて、扁桃体の興奮を押さえるというメカニズムです
。
扁桃体は、不快感や不安感・ストレス・危機などネガティブな感情を生み出します
。これは私たちがいろんな危険から身を守るための警報のような働きをしてくれてい
るともいえますが、これが過常に働きすぎると、日常生活にも支障を来すことにもな
ります。
皮膚に触れるだけで、このオキシトシンが増えるというのは、とても興味深いですね
。
私はこのオキシトシンの働きが鍼灸の治効原理のバックボーンになっていると考え
ています。
経絡(けいらく)治療に代表される日本伝統鍼灸術の特徴は、治療者の暖かい手で行
われる触診にあります。
診察から診断そして治療に至るまで、すべてにおいて直に手で触れる触診が最も重要
な役割を果たしています。
鍼灸の臨床を通して、多くの方のストレスや不安感などが、治療を重ねて行くうち
に徐々にほぐれて軽くなって行くのをみていると、経絡の気を整えるといった治療原
則は歴然と存在はしているものの、、その背景にはオキシトシンのような癒やしのパ
ワーが働いているように思えます。