ポリヴェーガル理論[1]
2022/01/20
先日ご紹介した、私が最近読んだ本「ポリヴェーガル(poly-vagal)理論入門」
昨年11月の支部会に聴講参加された方もちょうど読んでいるところだったというのもあり、より興味がわきました。
ポリヴェーガル理論は、まだ解明されていない脳や神経系の働きや関係性、特に自律神経系の働きについての洞察が、トラウマやPTSD・発達障害などの治療に臨床応用されたため、欧米で広く知られるようになりました。
ポリヴェーガルとは、日本語にすると「多重(複数の)迷走神経」という意味です。
まず概要から説明します。
これまでの自律神経の捉え方は、「交感神経」と「副交感神経」の二つの神経系があって、両者がバランスをとることによって生体機能を営んでいるというものです。
ポリヴェーガル理論は、副交感神経系の重要な迷走神経を、背側迷走神経と腹側迷走神経の二つの系統に分けて考える新しい自律神経のとらえ方です。
つまり、交感神経:1、副交感神経:2、の三つの神経系がある、と考えます。
腹側迷走神経は延髄(脳)の前側からその枝を出し、背側迷走神経は延髄の後側から枝を出しています。発生学的には、最も原始的な神経系が背側迷走神経で、次に交感神経系が備わり、哺乳類に進化した段階で発生したのが腹側迷走神経系です。
赤ちゃんでイメージするとわかりやすくなります。
生まれたときは、進化上最も古い迷走神経である背側迷走神経(複合体)と、交感神経系を備えています。新しい迷走神経である腹側迷走神経(複合体)も育ち始めているけど、まだ未熟な状態です。
この三系統にはそれぞれ働きの違いがあり、生命の維持と外的に対する防衛システムとしての働きがあります。