幸せホルモン『オキシトシン』
2019/08/26
「幸せホルモン」「安らぎホルモン」「癒しホルモン」「愛情ホルモン」「抱擁ホルモン」などと様々な呼ばれ方をする『オキシトシン』への注目が今、急速に高まっています。
『オキシトシン』とは、ギリシャ語で「早く生まれる」という意味の言葉が語源だそうで、古くから女性の出産や子育てに関連するホルモンとして広く知られていました。
特に近年、オキシトシンの研究が急ピッチで進み、その驚くべきホルモンの力が注目されるようになりました。「飼い主とイヌが触れ合うことで互いにオキシトシンが分泌される」という論文が、アメリカのサイエンス誌に掲載されたことで世界で話題になり、『オキシトシン』という言葉は広がりました。ここ数年の間に耳にされた方も少なくないのではないでしょうか。
このオキシトシン、分泌されると次のような効果をもたらします。
・幸せな気分になる
・ストレスが緩和する
・不安や恐怖心が減少する
・学習意欲と記憶力向上
・自己治癒力の向上
等々。
オキシトシンの産生部位は視床下部と下垂体といわれていましたが、今日までの調査で脳ではなく、皮膚自身が作り出していることがわかってきました。皮膚はいわば、「露出した脳」だったのです。皮膚にとって欠かせないオキシトシンだからこそ、タッチによって皮膚の細胞自体が産生し、放出しているわけです。
タッチしたり、優しく撫でたり、マッサージなどを受けることによって、皮膚でオキシトシンが産生され、皮膚の健康を保つことや、傷の直りが早くなるなど、医療の面でも美容の面でも役立っているのではないかと期待しています。
人と人とのスキンシップや簡単なボディタッチで分泌されるとはいえ、このIT時代。現実での触れ合いの機会はどんどん減少して、身近な触るものといえばキーボードやスマホの画面・・という現代人は、明らかにオキシトシン不足になりやすい状況にいます。
当院の鍼灸治療も浅鍼で、気持ちが良くオキシトシンが分泌されていると思います。
「手当て」というとケガや病気の治療という意味がありますが、手当て、の言葉どおり、まずは手を当てることから治療は始まっているのです。