過労・ストレスによる体調不良
2016/06/27
40代 女性 お仕事がハードで疲れが慢性的に貯まったために体調を崩された症例です。
長く続く疲労は、ストレスの原因の代表のようなもので、適宜疲れを解消できれば良いのですが、過常に貯まれば、副腎からストレスホルモンが過常に分泌され自律神経の働きを大きく崩していろんな体調不良を起こします。
主な訴えは、毎日続く疲労倦怠感です。そのほかにも肩こり・頭痛・食欲不振・胃のむかつき寝付きが悪く熟睡できないなど睡眠のトラブル、足先がとても冷えて痛みを感じることもあるなどいろいろとありました。
最初に来院されたのが8月の猛暑の頃でしたが、膝から下の足は本当に冷たく、ずっと触れているとこちらの手もひんやりしてくるほどでした。
足は冷えているのに、首から上は少し微熱があり、冷えノボセの状態です。
脈の状態は、指で触れてもわかりにくいい沈・虚の状態で、腹部にも全体に力が無く軟弱で無力、下腹部である小腹は冷えが強く感じられました。。
このような身体の状態を、東洋医学では陽虚(ようきょ)と呼んでいます。
陽虚とはわかりやすく言えば身体と心のエネルギー不足の状態です。
交感神経の緊張もありますが、副交感神経の機能低下も顕著です。
治療は人の生命力の根本である腎の陽気(ようき)を補って増やして行く方法をと
りました。
また補陽灸(ほようきゅう)を用いて背部の背骨の間にある陽気を補うツボ、足裏の湧泉(ゆうせん)穴などに適宜温灸を施して、身体全体の陽気を増やしてゆくようにしました。
初回の治療終了後に視野が急に明るくなったと驚いておられましたが、陽虚の場合そのようなことが起こることはよくあります。
週に1度のペースで治療を続けたところ20回ほどで、体調はかなり改善され元気になられました。
最近ストレスの身体に及ぼすメカニズムとしてストレスホルモンと自律神経の興奮が注目されています。
不安や恐怖心などストレスによって引き起こされる感情は大脳の扁桃体と言われる所を興奮させ、それが腎臓の上にある副腎に伝わり、ストレスホルモンが過常に分泌されます。
このストレスホルモンによって、血圧上昇や動悸(どうき)を起こし、同時に自律神経の過緊張状態を招き、心身にさまざまな悪影響を与えます。
東洋医学では2500年以上前から、不安・恐怖心と腎臓の密接な関係を説いてきました。
本症例も、その腎の治療によって奏効した一例です。