カテゴリー別アーカイブ: 院長ブログ

ロンドンでの、うつに対する鍼灸治療

先日NHK総合テレビで「東洋医学ホントのチカラ」という特番がありました。
東洋医学 ホントのチカラ 冬のお悩み一挙解決SP

水曜のゴールデンタイムでの放送だったので、ご覧になった方も多いと思います。
内容は、冬にみられる心身の不調を東洋医学で解決し、ツボ押しなどのセルフケア方法を紹介するというものです。

アイドルグループやアスリートの方の、鍼灸でのメンテナンス紹介などもあり、なかなか鍼灸に対して喜ばしい内容でした。
近年3000年の歴史をもつ東洋医学の治効メカニズムが、現代科学で徐々に明らかになってきています。古代中国の知恵に、ようやく科学的なエビデンスが得られるようになってきたのだと思われます。

番組中で私が特に注目したのは、ロンドンで行われている うつに対する鍼灸治療の紹介です。

イギリスで鍼灸。しかも、うつの治療。
少々奇異に思われた方も多いのではないかと思いますが、私が所属している【東洋はり医学会】は欧米にも多くの支部があり、私の恩師である元副会長の鹿住 晴廣 先生も、ロンドンでの経絡治療の講習会に招聘され、多くのイギリス人鍼灸師を指導しておられました。

番組では、鍼灸治療でうつの症状が改善されている様子が紹介されました。
また日本においても、うつに対する鍼灸治療の臨床研究が大学病院などで始まり、その治効メカニズムとともに治療成果が7割以上の患者さんに認められたと紹介されていました。

具体的には、鍼灸治療によって、うつに深く関係しているとされる脳の前頭葉の血流が大きく改善されていることがわかってきました。また、最近のうつの発症メカニズムとして、ストレスによって脳内に炎症が起こり、この炎症のために神経活動が低下してうつが引き起こされるといわれるようになっており、鍼灸治療はこの炎症を減らしている可能性があると考えられています。

当院でも、もう何年も前から、うつや不安神経症、パニック障害などのメンタルの症状に対して経絡治療で取り組んできました。
その経験から、確かに鍼灸は心に効くのだと確信を持つようになりました。

以前のブログでも触れておりますが、東洋医学には3つの大きな特徴があります。
予防としての医学、自然と人との調和、そして心身の相関による心身医学です。

日常においても、鍼灸治療を受けると、身体が軽くなり気分が明るくなったり、億劫だったことが何ら問題なくできるようになったり、考え方が前向きになったりという声をよく聞きます。
これは経絡治療が、単に肉体に効いているだけではなく、メンタルヘルスにも良い影響を及ぼしているのだと考えられます。 続きをみる>

経絡治療の病に対する予防的な効果

新型コロナウイルスの情報が、連日報道されていますね。

日本においては現在、流行が認められている状況ではありませんが、正しい情報をしっかり把握しながら、風邪や季節性インフルエンザ対策と同様に一人ひとりの咳エチケットや手洗いなどの実施がとても重要です。

ところで、経絡治療を週に1度ほど続けておられる方からよく言われるのが

「鍼治療をするようになってから風邪をひかなくなった」
あるいは
「風邪をひいても寝込まずに治るようになってきた」

施術している者にとって、とてもうれしい発言です。
これは経絡治療が、免疫力向上とともに自然治癒力向上に働いている証だと考えられます。

西洋医学的に言えば、自律神経のバランスがとれることで、顆粒球とリンパ球のバランスが良い状態に保たれ、免疫力が向上していることを示します。

東洋医学では、3つの病の原因があります。

1つ目は、暑さ寒さなどの外的環境、そしてウイルスや細菌などが体内に侵入してきて起こる病を外邪による外感病(がいかんびょう)といいます。

2つ目は、外邪によるものではなく、過度の感情の変化や精神ストレスによって内を害する内因による内傷病 (ないしょうびょう)です。

最後3つ目は、飲食の不摂生や良くない生活習慣で生じる不内外因です。

東洋医学には未病という思想があります。
未病とは、まだはっきりとした病ではないが、放置しておくと病になってしまう状態のことで、東洋医学の目指しているのは、この未病を治すことだといえます。

風邪は万病のもとと言われますが、文字通り経絡治療で風邪以外の病に対しても予防的な効果があると実感しています。 続きをみる>

立春前の土用

やっと冬らしくなったかと思えば春のような気温になったりで、体温調節が大変ですね。
二十四節気では大寒。もうすぐ立春です。ちょうど今の時期は立春前の土用の期間です。
三寒四温、という言葉のように、寒い中にも少しだけ春の気配を感じられます。

五行の考えでは、冬は「腎水」そして春は「肝木」になります。
その間に脾土の土用が設けられています。土用の丑のウナギは夏の土用で言われるので有名ですが、四季それぞれに土用があります。

土用は、脾土に属しています。
脾土はいろんなものを変化させる原動力で、季節の変わりめの変化を司っています。
季節の節目が脾土の土用です。

私たちの身体の方は、そんな急な変化にはなかなかついていけません。
脾土は、人体では消化器に属していて、この時期は胃腸が順調に働けば季節の変化にもついてゆけますが、胃腸を弱らせる時期でもあるので注意が必要になります。
これから3月にかけての歓送迎会の機会などで、飲み過ぎ・食べ過ぎてしまわないよう、できるだけ心掛けてみてくださいね。 続きをみる>

東洋はり医学会なみはや支部 1月支部会報告

ここのところ、支部会報告ができておりませんでしたので今回は書いてみます。

1月19日の日曜は、東洋はり医学会 なみはや支部の例会でした。
年初の例会では総会を開き、今年度の支部の活動方針などを話し合いで決めます。

今年は11月に本部東京から講師を招き、特別講習会を開催することになっています。
前会長で現在技術顧問の中田光亮先生と事務局長の赤澤貴先生に来ていただくことが決まり、内容の濃い講習になるだろうと、今からとても楽しみです。

毎月の例会では、午前の座学において臨床雑話と臓腑経絡学を引き続き担当することに決定しました。臨床雑話では、日々の鍼灸治療の実践での症例紹介や、気づいたことの雑感をお話ししています。

臓腑経絡学は、西洋医学での解剖生理学に相当する内容で、今年度で3年目になります。
午後は、経絡治療習得のための実技修練を行います。
今年は年間テーマとして「肩こり」の臨床研究をすることになりました。

「肩こり」というと、ごくありふれた症状に思われますが、この治療に精通することによってその奥深さと難しさを支部員の皆さんと再確認し、今年度の終わりには支部員全員が肩こりの治療に自信を持って取り組めるようになってほしいと思っています。

肩こりの治療によって多種多様な症状、自律神経失調症症・耳鼻咽喉科・眼科・更年期障害・不眠・精神症状などに、治療の可能性が開けてくるのを理解してもらえると考えています。 続きをみる>

小正月・どんど焼き

旧暦の1月15日は、立春後の望月(もちづき:満月のこと)にあたります。
その昔この日を正月としていましたが、やがて太陽暦になると、1月1日の元日を「大正月」、1月15日を「小正月」と呼ぶようになりました。

大正月が年神様を迎える行事なのに対し、小正月は年神様を見送ります。豊作祈願や家庭的な行事が多いのが特徴です。大正月を男正月、小正月を女正月ともいい、松の内に多忙をきわめた女性をねぎらう休息日でもありました。

また、この日にしめ飾りなどの正月飾りを焼く「左義長」を行い、正月行事に区切りをつけます。このように年神様を見送って正月行事も無事終了となるので、1月15日を「正月事じまい」といい、15日までを「松の内」とする地方もあります。

「左義長」とは、小正月に正月飾りや書き初めを燃やす行事で、その煙に乗って年神様が天上に帰ってゆくとされています。「左義長」は、三毬杖(さぎちょう)という青竹で正月飾りを焼いたことに由来します。

通称は「どんど焼き」「どんどん焼き」「どんと」「とんど」など地域によって様々に呼ばれ、その火で焼いたお餅などを食べると無病息災で過ごせるといわれています。

香川県では「おみかん焼き」といって、古い新具や古いお守りを燃やした火でみかんを焼き、無病息災を願う神事が行われているそうです。

ところで、みかん自体の栄養効果(ビタミンCや食物繊維が豊富、抗酸化力が強く、悪玉コレステロールの酸化を防ぐ働きがあります)もさることながら、みかんの皮は漢方では『陳皮』、胃やのどの病気を改善する漢方として用いられています。

陳皮の効用ですが、理気作用(りきさよう)と言って気の流れをスムーズにします。
理気作用とは、めぐりが悪くなった「気」を整える働きのことです。ストレスから起こる気滞の症状、気分のイライラや気持ちがざわつく感じなどにも効果が期待できます。

そのまま生で食べればみかんの皮を食べる機会は少ないですが、こんなに身近にある食材でも、お手軽に漢方や薬膳を体験することは可能です。焼きみかん、身体が芯から温まりやすく、寒いときや体温を上げたいときにもオススメかと思います。 続きをみる>

謹賀新年

明けましておめでとうございます。
新春を迎え皆さまのご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

奥田鍼灸院の診療は、明日7日(火)からです。
いただいた賀状に「ブログを読むのを楽しみにしています」とコメントをくださる方もおられ、身の引き締まる思いです。

毎年のことですが正月休みはもっぱら、休養とインプットに充てています。
好きな音楽と読書です。

『嫌われる勇気』(岸見一郎さんと古賀史健さんの共著)を再読しました。
アドラー心理学でベストセラーになった本で、とても教えられる事の多い内容です。

著書の最後の所に出てくる「他者貢献」というのが、今の私の一つのテーマになっています。
鍼灸院を営んで、経絡治療で多くの方に貢献できればと思っております。

今年も経絡治療を通じて、どのような方と巡り合えるか楽しみです。
また、なみはや支部の活動においても、後輩のみなさんを育ててゆき、ともに成長したいと考えております。

そのためにも、今年はもっと自分の心身に向き合っていこうと思い立ちました。
それで早速、1月からヨーガの指導を受けることにしました。

プライベートで指導してくださる先生を見つけ、お願いしています。
ヨーガはほぼ独学でやってきましたが、どれだけできているかどうか、実際に指導していただいて学びなおそうと思います。 続きをみる>

今年も残りわずかですね

会社関係だと、今日が大掃除のところが多いのではないでしょうか。
今年も残すところあとわずかとなりました。年の瀬ですね。

当院では、12月31(火) ~ 1月6日(月) 迄、休診とさせていただきます。
1月7日(火)より開院いたします。

最終診療日は30(月)ですが、取り急ぎ年末のご挨拶とさせていただきます。

本年も奥田鍼灸院をご愛顧賜りまして、誠にありがとうございます。
新しい年がみなさまにとって明るく良い年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
来年も、どうぞよろしくお願いいたします。 続きをみる>

「やいと・おきゅう」の由来

師走も半ばを過ぎ、グッと寒さが増してきましたね。

さて前回、滋賀県はお灸のふるさとだという話をしましたが、今回は「やいと」「おきゅう」の由来について書いてみます。

平安末期には「炙所」と書いて「やいとう」と呼んでいたようです。
鎌倉時代には、その読みが「やいと」に縮まります。
戦国時代には「炙所 → 焼処」と、「やい」の字に「焼」を当てはじめました。
※「とう(と)」の字も「遠」とする説もあるようですが、「処」が一般的。

「焼処」は「やけど」とも読むことができますが、「やいと」と「やけど」では、全く意味合いが変わってきます。一方で医療行為、その一方では事故的不可抗力。能動的にも異なりますね。

モグサ(艾)をすえる(居える・据える)と表現するようになるのも鎌倉時代からのこと。
そもそも「据える」とは、「位置を決めて物や人を容易には動かないよう、しっかりと置いたり重要な地位などにつかせる」という意味です。

ちなみにモグサの語源には、「燃え草(もえぐさ)」「揉む草(もむくさ)」など諸説あります。

現在では「お灸」と一般的に呼ばれます。【 接頭語の「お」+「灸」】
元々は上流階級への施術からきているようで、雅な言葉で「御やいとう」という表記も過去の書物には登場しているとか。ということは、「御灸」からお灸になった経緯もあるかもしれませんね。 続きをみる>

お灸の地、滋賀県

朝の連続テレビ小説で今は滋賀県 信楽が舞台になっており、滋賀県人気が上昇中だそうです。

私ども鍼灸師としては滋賀といえば、古くから「薬草の宝庫」として有名な滋賀県米原市の伊吹山(いぶきやま)です。お灸のふるさとですね。

『伊吹薬草』『伊吹モグサ』などといわれ、伊吹山の麓では、お灸やモグサを製造・販売する老舗の会社が多くあります。創業が300年以上前の企業もあり、モグサの伝統を守りながら東洋医学の発展に取り組んでこられたことと思います。

モグサは、ヨモギ類の葉から造られます。ヨモギはキク科の多年草で、本州、四国、九州の山野路傍に自生し、春の若葉を餅に入れるなど、よく知られた植物で、葉は艾葉(がいよう)と呼ばれ、薬用にも使われます。この葉の裏の非常に細かい毛を集めたものがモグサです。

昭和の半ばくらいまでの長い間、「お灸」「やいと」と呼ばれて親しまれ、鍼灸院での治療はもちろん、庶民が自分で出来る健康法として、ヨモギの葉の裏の綿毛を精製して作られるモグサを直接肌に置き、それに火を付けてツボを刺激する方法が一般的でした。

今ではあまり聞きませんが、昔は子供などを強く叱る言葉で「お灸を据える」という常套句がありました。実際に、身体の一部に「灸をすえ」我慢させるという躾の風習のことですが、「お灸を据える=悪いことをした罰」といわれる程、熱刺激は肌に直接だと強くなりがちです。

しかし、ここ数十年で「もっと気軽に使えるように」と、台座付きのお灸製品が考案され、広く使われるようになりました。

漢方と並んで古来から東洋医学の柱とされてきたお灸でしたが、いまや「火を使わないお灸」や「煙のでないお灸」「アロマのお灸」などの商品開発が進んでおります。

せんねん灸の直営ショップでは、古くからお寺で行なわれてきたほうろく灸(素焼きの皿:ほうろくを頭の上に置きもぐさを焚く)の体験会などおもしろいイベントも開催されているようですよ。

約千年以上も前の奈良時代、温熱で血行を良くして体のバランスを整えると言われ、 弘法大師・空海が仏教とともに中国から持ち帰ったとされるお灸。
薬草の宝庫である滋賀県・伊吹山の麓から人々の健康を支え続けているのですね。

当院では、主に温灸を使用しています。練モグサを熱原とした当院オリジナルの温灸器を作成して、日常の臨床で役立てています。

とても穏やかで心地よい熱感を与えることのできる灸施術です。陽気を補うのに優れているところから「補陽灸」と名づけ、なみはや支部の皆さんにも使っていただいています。 続きをみる>