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古来より「ニンニク」パワー

二十四節気では大暑へ移る頃。
暑さも本格的になり、1年でもっとも暑さが厳しく感じられる時期です。

そんなときには夏バテ気味になりがちですが、土用の丑の日「鰻」を筆頭に、スタミナ料理の登場が増えてきます。

スタミナの素、代表格の「ニンニク」は【大蒜(だいさん・おおにら)】という立派な生薬です。
玉ネギ、百合根、ラッキョウなどと同じ、ユリ科の多年草で、古くから疲労回復や滋養強壮として親しまれてきた食材でもあります。

今をさかのぼること約6,000年前、古代エジプト文明を記した“パピルス”に登場するほどに歴史は古く、ピラミッド建造の労働者には毎日与えられていたようです。
古代エジプト王の墓からはニンニクの模型9個が発見され、ツタンカーメン王の墓からは乾燥したニンニク6個が見つかったとされています。ミイラの防腐剤としても活用していたのだとか。

その後は、ギリシア・ローマを経て地中海地方、さらにはヨーロッパ全土に広がり、インド、中国大陸、朝鮮半島を経由して、日本には4世紀頃に伝わってきました。

アレキサンダー大王軍やキリスト教十字軍なども、腫瘍や火傷などの治療にニンニクを常備していたのだとか。
吸血鬼ドラキュラの魔除けでも有名なように、ニンニクの強い殺菌作用は東西を問わず、食用や薬用として幅広く利用されます。

スタミナのつくパワー系の食材であり、暑い夏を乗り切る食材代表のニンニクですが、前述の薬用にもあるように、実は「鎮静作用」があるのが特徴です。

高麗人参のように、不足したものを補う系ではなく、体内にあるものを巡らせて活用できるようにすることで元気を漲らせる系の食材なのです。
漢方的な分類も、気滞(気の巡りが悪い)とお血(血の巡りが悪い)に向く食材とされています。

滞った気や血の巡りを改善することで、高ぶりを鎮めるのです。
薬膳・漢方の考え方では、心身のバランスを整えることが重要です。

とは言え、食べ過ぎには要注意です。
熱性の強い食材なので、食べ過ぎると胃に内熱をこもらせます。
虚弱な人が多食すると良くありません。

ラーメンに生のニンニクをテンコ盛りして、救急搬送された方がSNSで話題になっていました。
大量に食べずとも、その効果は十分あります。

身近でも、ひどい頭痛と嘔吐を起こした女性がいました。
私もいただいた黒ニンニクを食べて、その晩に口内炎ができてしまったことがあります。
口内炎はふだん起こさないのでびっくりしました。

胃腸の弱い人や乳幼児はもちろん、適度な量でバランスよく「強壮」と「鎮静」の作用を活用ください。 続きをみる>

天気痛・梅雨だる

梅雨前線が停滞し、今週から雨模様の天気予報です。
今年の大阪では、梅雨入りが例年よりも早かったですね。

梅雨時は「天気痛」や「梅雨だる」という言葉があるよう、外気の湿度が高くなるとその影響で体内の湿度が調整しづらくなり、免疫力が低下、独特の体調不調を訴える人が多いです。

いわゆる漢方での「水邪」がたまりやすい時期で、梅雨どきは、どんな人でも体の中の水分を発散させにくくなります

天気と人間の健康には密接な関係がある、と昔から言われていますが、人の身体は天気や気圧の変化でストレスを感じることがあります。

気圧が下がると耳の奥にある「内耳」にある前庭神経が興奮します。
この神経の興奮が脳の視床下部に伝わって自律神経の交感神経を緊張させ、自律神経が敏感に反応することで、脳の血管が拡張したり組織に浮腫(むくみ)が生じたりして、天気痛が起こると考えられています。

最近は製薬会社でも、この類の市販薬を宣伝していますね。多くは漢方薬が主体で「五苓散(ごれいさん)」を有効成分としているようです。
「気象病外来」を設けている病院もあるそうですね。
それだけ現代では一般的に「天気痛」が認識されつつあるということです。

鍼灸治療では、主に耳に関係の深い「腎」の経絡と、交感神経緊張に関係のある「肝」の経絡を中心に調整し、それと同時に内耳のリンパの流れを改善する目的で、頚肩部と耳周囲の緊張を緩めるように治療します。
このような治療を続けることによって、自律神経の整った身体作りになっていきます。 続きをみる>

立てばシャクヤク、座れば…

雨が緑を潤し、緑花のシーズン到来ですね。
花に因んでことわざで「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というのがありますね。
美しい女性の容姿や立ち居振る舞いを花にたとえて形容する言葉。いわゆる美人の代名詞です。



芍薬(立って見るのが一番美しい:すらりと伸びた茎の先端に華麗な花を咲かせます)も牡丹(座って見るのが一番美しい:枝分かれした横向きの枝に花をつけます)も共に美しい花で、百合(歩きながら見るのが一番美しい:風を受けて揺れます)は清楚な花であることから、美人の姿や振る舞いを花に見立てて形容するのですが、実は漢方の意味合いもあるのです。

「立てば芍薬」の「立て」は気が上がっている状態を指します。イライラと気のたっているところを、芍薬で改善させます。芍薬の根を使うのですが、痛みを取ったり、筋肉の緊張を取ります。

「座れば牡丹」の「座れ」はずっと同じ場所に滞っている状態を指します。ぺったりと座ってばかりいると一点に溜まります。それは「瘀血(おけつ)」が原因となっていることがあります。瘀血とは、血液が滞った状態を意味します。牡丹の根の皮の部分(牡丹皮・ぼたんぴ)により改善されます。

「歩く姿は百合の花」は百合の花のようにナヨナヨとして歩いている様子を表現しております。
それは、心身症のような状態を意味します。その場合には百合の球根を用います。

このように、それぞれの症状に合った生薬を用いると健康になれる、ということですが、ことわざが先行して「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」は、健康な人間(この場合女性に例えていますが)は芍薬・牡丹・百合の花のように美しいという意味なのだと思います。 続きをみる>