カテゴリー別アーカイブ: 症例紹介

その後の経過観察

先日から書いている梅核気の患者さん〈臨床雑話(姿勢と喉:症例①&②)でご紹介しています〉は、お二人とも経過は良いです。
調子が良い日が増えてきたとのこと、治療家として嬉しく思います。

40代の女性は【天突(てんとつ)… 左右の鎖骨が交わる中央部】部分の圧迫感を訴えておられます。陰維脈を意識した治療で、自律神経系の症状は治療できると考えます。

それから前回のブログで書いていますメンタル症状の女性のお二人ですが、こちらも良い感じで経過しています。

不安神経症の方はオンラインでヨーガのレッスンを受けているので、こちらからはヨーガニードラのCDをオススメしたところ、とても気に入って実習されています。

そして、鬱でイライラ感がとても強い方は、「2回治療した時点で食欲が出てきて、今までできなかったこと・・例えば買い物などもできるようになり、気持ちが前向きになってきた」とうれしそうにおっしゃっています。

オキシトシン効果なのかアロマ効果なのか、とにかく2回の施術でこれだけ変化することには、鍼灸治療のメンタル症状に対しての可能性を強く感じますね。 続きをみる>

頭痛にメンタル治療とアロマの併用

頭痛を主訴とする患者さまにメンタル治療を始めると、割と短期間で症状の改善がみられます。
頭痛はメンタル治療の適応症と考えても良さそうですね。

最近の新患では、40歳と41歳の女性が来院されました。
お二人ともメンタル症状の悩みです。

一人は不安神経症で心療内科に4年ほど通院されています。薬はできるだけ使いたくないということで当院に来られました。
オンラインでヨーガもしていて、なんとなく前向きな感じがします。
治療はまだ2回ですが、初回で頭重感が取れたそうです。

もう一人はうつ傾向が強く、引きこもりになっていて人に会いたくないとのことでした。イライラが強く、時々爆発してしまい、お子さんに怒鳴りつけてしまうとのことです。このまま子育てができるのか心配されておられます。肝実(肝の亢ぶり)が想定できますね。

当院で行っているメンタル治療は、この肝気の調整に全身の気の滞りを取る接触鍼による施術が中心です。
初回の治療の帰りには、頭がすっきりしていたとお話しされました。
1週間リラックスして過ごせたそうです。イライラも無かったとのことでした。

改善はまだまだこれからですが、初回の効果は今後治療を継続するモチベーションになります。
メンタル治療では、初回でかなり効果が出ることが多いです。

今回はアロマも併用してみました。
ラベンダーとスイートオレンジです。リラックスアロマの定番ですね。
肝に働きかけて気の流れを滑らかに、気滞を取ってくれる香りです。

メンタル症状では、もっとアロマを活用するのが良いと考えています。
効果が出せることなら何でも取り入れていきたいと思います。 続きをみる>

臨床雑話(姿勢と喉:症例②)

臨床雑話で患者さまの「姿勢と喉」に関連した内容をご紹介します。
今回はお二人目の症例です。

② 20代女性:喉の違和感、吐き気
毎日嘔吐(えず)く、嘔気があると言う訴えです。

整形外科ではストレートネックによる自律神経の乱れだと言われたとのこと。
お仕事による影響がありそうです。
この方も頸部左胸鎖乳突筋の緊張が原因だと思います。

梅核気もストレスによる気滞と頸部の過緊張による気滞があるように思います。
前者は《気の変動》、後者は《血の変動》が中心になるかと思います。
《血の変動》によるものの方が治しにくいと予想されます。

喉の違和感、急に嘔吐く感じになるのですが、回数と程度が軽くなって良い調子です。
3回の治療で、症状が軽くなって頻度も少なくなり、肩の痛みも楽になっているとのことでした。
年齢が若いのもあり、治癒力も高いのかもしれません。

姿勢と喉の症例①・②のお二人とも、梅核気の症状や他の要素もあり、複雑です。 続きをみる>

臨床雑話(姿勢と喉:症例①)

大阪府における緊急事態宣言の解除に伴い、昨日10/17(日)  やっと久々になみはや支部の例会が開催できました。支部会員の皆と、オンラインではできない実技が行えるのが嬉しい限りです。

支部員に向け配信してしている臨床雑話ですが、患者さまの「姿勢」と「喉」に関連した内容でまとめてみました。お二人の症例をご紹介します。

① 40代女性:長く続く喉の違和感
鼻の奥(上咽頭部)の違和感だけがずっと残っていると言う訴えです。

違和感は右喉の上部から始まって、だんだん強くなって喉から胃の方まで範囲も広がり、空咳のような症状も併発するようになってきました。

ストレスから起こる喉の違和感(梅核気)は経絡調整によるメンタル治療で、割と早期から症状が軽快することが多いのですが、この方の場合は治療当初はなかなか改善が見られませんでした。

いろいろと検討して見ると、右胸鎖乳突筋上部の筋緊張が大きく関わっているのではないかと思われ、刺さない鍼で「血」を動かす手技を加えるようにしました。

また、お仕事中の不良姿勢にその原因があると思われるので、姿勢のアドバイスもさせていただきました。

喉の違和感の原因には、ストレスによる気の停滞、逆流性食道炎、そして不良姿勢による頸部から肩にかけての凝りなど、いろいろと考えられます。

現在15回の治療をしていて、症状はだいぶ軽減されています。
喉の違和感は気にならない時間が増えて、咳の症状も消失しています。
また背中の痛みも出なくなっていて、良い感じになってきました。

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DLPFC(背外側前頭前野)

東洋はり医学会なみはや支部のメーリングリストで、支部員の皆さんにも共有したいと思ったのが
「DLPFC(背外側前頭前野)」の話です。

先日、治療中の会話で興味深い気付きがありました。
子宮摘出の術後、パニック障害になった40代 女性の患者様です。

「脳の左右には、働きの違いがあるんですか?」と尋ねられ、右脳と左脳の働き、言語は左でイメージなどは右であるとか、DLPFCが左側頭部にあることなどをお話ししました。

その患者様の言うことには、側臥位で右半身を治療してもらうと、とても気分が良くなって楽になるとのことで、左右で感じが違うらしいのです。

そのようなことは言われたことも無いし、あまり考えたことがありませんでした。
でも単純に、右半身が左脳で、左半身が右脳に支配されていると考えれば、〈 右を治療することで左脳の興奮がおさまる 〉と考えることもできますね。

これは、なかなか面白い視点ではないでしょうか。

「DLPFC(背外側前頭前野)」:Dorsolateral prefrontal cortex
頭蓋骨に近い脳の表面の前頭部の一部がDLPFCです。

脳の各部位で喜怒哀楽の感情や、睡眠、食欲をコントロールしています。
判断、意欲、興味をつかさどり、機能が低下すると、やる気がなくなる:気力低下の症状が起こります。

腰痛においても、腰痛の原因が腰ではない(痛みの直接的な原因となる骨や椎間板の異常が見つからない)場合など、現代医学では、痛み回路の興奮が慢性腰痛の隠れた原因であるということがいわれるようになりました。

〈 腰の痛みの真の原因は脳にあり、脳の勘違いが腰の痛みを作り出している 〉ということです。
慢性腰痛の人の脳を詳しく診ると、脳にあるDLPFCといわれる部分の活動が低下していることがわかってきました。

メンタル治療においても、この辺りにも効いているんだろうと考えています。
置鍼などでDLPFCを意識した治療をしている他流派もあるようですね。

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「慢性上咽頭炎」

私が最近読んでいるのは「慢性上咽頭炎は東洋医学で治す」という図書です。
慢性上咽頭炎を専門にしている鍼灸師の著書です。

頚の凝りを取ると慢性上咽頭炎は治るという治療方針が書かれていました。
気になったのは、この疾患で毎月新たに50人近い患者さまが来院するという事です。

慢性上咽頭炎で悩んでいる人が多いのは確かだと思います。
この本の中でも書いてありますが、耳鼻科での治療は強い痛みを伴い、なかには失神する人もいるそうです。

当院でも、きつい偏頭痛で奈良から通う女性がこの疾患をもっていました。
この方も耳鼻科でこの治療を受けていて、「痛みが強く治療後は喫茶店で休まないと動けない」と悩んでおられました。

腎虚を中心とした〈てい鍼:刺さない鍼〉でのメンタル治療をしたところ、きつい偏頭痛も起こらなくなり、鼻の調子も良くなったと喜ばれました。

上咽頭炎は、鼻の症状以外に頭痛や耳の症状など、様々の原因になります。
40代女性で蓄膿を発症後、「鼻の奥の違和感がずっと残っている」と言う訴えでしたが、まさに上咽頭部の違和感です。耳鳴りで来院されている女性も、こちらも上咽頭炎だと推察されます。

上咽頭炎においては、頭部および鼻部の深い熱を冷ますことが良いと思います。
蓄膿の方の場合は後頚部、天柱・亜門・脳戸。風府辺りの緊張が取れて症状は無くなりました。
今も来院されていますが、鼻の訴えはありません。 続きをみる>

自律神経のみだれによる発熱

患者さま(中学1年生 女子)のケースです。




2週間前より、37.5 ~ 37.8℃ あたりをいったりきたりする 微熱が続いているとのこと。
病院でいろいろな検査をしても異常は見つからず、ストレスによる自律神経のみだれだろうという見解でした。

微熱の他に、身体のだるさと食欲不振があり、この2週間の間で登校できたのは2日ほどだそうです。身体を診させていただくと、顔面から頭部そして手のひらにかけては熱感があり、かなりしんどそうな状態でした。

これに比べて、足先はとても冷えており、冷汗も触知できました。
脈は力無く、やや早く打っていました。

この状態は冷えノボセで、東洋医学では「逆気(ぎゃっき)」といいます。
逆気は、主に腎の弱りから起こり、心とのバランスが崩れて心に熱がこもり、発熱や倦怠感などの症状を起こしています。

中医学ではこれを「心腎不交」と云い、不眠や動悸、頭痛などの原因にもなります。
鍼灸治療は、まず腎の弱りを強化して、心とのアンバランスを整えるようにします。
その上で、上半身にこもっている熱を冷まし下半身の冷えを除くようにします。

今回は、皮膚に触れるだけで施術できる、チタン製の鍼を用いました。
また、熱を取るのに優れた効果を出す鑱ざんしん:ラッパ型の刺さない鍼)と温灸も使用しました。チタンは、イオン化傾向が最も高く身体との親和性に優れており、生体電気のアンバランスを平衡化する働きを強く持った金属です。

脈にやや力が出て、ゆっくり打つようになったことを確認して施術を終えました。
3日後に再度診させていただいたところ、前回の治療後、帰宅して検温したら、平熱に戻っていたとのことでした。翌日からは、とても元気になり食欲も出てきたそうです。

今回は足の冷えも無く、ノボセの状態は解消されていました。
2週間続いていた発熱が1度の鍼治療で下がり、元気を取り戻したことは、施術者としてとてもうれしいことであり、身体の状態に対して適切な施術ができることと速やかな効果が得られることに改めて東洋医学のすばらしさを感じた症例でした。 続きをみる>

パーキンソン病

80代の男性で、パーキンソン病の治療に通われている患者さまがおられます。
パーキンソン病とは、脳の中の黒質と呼ばれる場所に存在するドーパミン神経が脱落してなくなっていってしまう病気です。

私たちの体は、大脳皮質からの指令が筋肉に伝わることによって動いています。この大脳皮質の指令を調節し、体の動きをスムーズにしているのがドーパミンです。 パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞がこわれて、作られるドーパミンが減ることによって発症します。

パーキンソン病では次のような特徴的な症状が出現します。
振戦(手足の震え)、動作緩慢(動作の鈍さ)、筋強剛(筋固縮)、歩行障害、姿勢反射障害(小刻みで足をすった歩き方)姿勢保持障害(転倒しやすさ)を主な運動症状とする病気で、50歳以上で起こる病気です。

進行性の病気で、一旦発症すると自然によくなったり治ったりすることはありません。大多数の患者さんは原因不明です。加齢に伴って発症しやすくなりますが、働き盛りの若いうちから発症する患者さんもいらっしゃいます。
時々は40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼んでいます。

パーキンソン病になると運動障害が現れるため、動くのが億劫になって生活の質が下がり、最終的には寝たきりになってしまう人もいます。症状の進行にともない体を動かしにくくなりますが、だからといって体を動かさないことは、運動機能の低下を加速させます。

冒頭の患者さまは、車椅子で奥さまと一緒に来院されています。
当初は会話も出来ない状態でしたが、通院されて8か月が過ぎたぐらいに、言葉が話せるような変化があらわれました。

ご高齢でもあり運動機能の改善は特にみられませんが、1年近くの治療を続けている現在、奥さまと従来のように会話ができ、施設のカラオケも楽しんでいると、奥さまも喜ばれています。

お薬は特に変えていないとのこと。
これは、経絡治療が脳血流に良い影響を与えた結果ではないかな、と感じております。 続きをみる>

お灸が奏効した鬱病

 東洋医学では鬱(うつ)病を気の不足・気の滞りとしてとらえています。
滞りとは、気が身体をスムーズに流れず停滞している状態です。
これは身体のいろんな所に不快症状を現します。

 気の不足とは、気そのものが消耗してしまい、文字通り元気が無い状態です。
 これは気力や・やる気・好奇心など心の力が無くなっている状態です。
 
●男性 40代会社員

 急に気分の落ち込みや今まで好きだったことに全く興味がなくなり強い抑鬱状態に
なり、同時に不眠と食欲不振に悩まされるようになり、心療内科で鬱症と診断されま
した。。
朝の倦怠感が強く、通常の勤務が難しく、三ヶ月間休職して自宅で療養をとっている
とのこと。
抗鬱薬と睡眠導入剤の服用を続けているが、鬱症状は改善せず、再び復職できるかど
うか不安になり当院に来られました。

 来院時、発症から四ヶ月が経過している状態で、気力・やる気が全く無く、一日中
家でぼんやりしているそうです。
診察してみると、腹部・脈ともに力が無く皮膚は緩んで弱々しい状態でした。
また後頚部には強い筋緊張が手に触れました。
気の不足がだいぶ進んでいると判断して、治療は気を増やすことを目標に脾と腎の経
絡を中心に施術しました。
また不眠を解消することで鬱症状も改善されるので、後頚部の緊張を取るようにしま
した。

 週に1回のペースで治療を継続しました。
開始後2ヶ月ほどは、あまり症状に変化がみられませんでしたが、腹部の緩みや脈力
は徐々に改善してゆきました。
治療開始から2ヶ月を経過した頃から夜だんだん眠れるようになり、少しずつ気力も
出てきたような印象を 持ちました。
気を補う目的で、自宅でも千年灸でお灸をしていただくように指導しました。お灸を
すると自覚的にも元気が出ることを実感され、毎日自宅でのお灸を続けていただいて
います。

 お灸を始めた頃から、鬱症状がかなり改善されて、気力や興味も出てくるようにな
りました。
現在は治療開始から4ヶ月経過し、ほぼ以前の状態に戻られ復職もされています。
抗鬱剤も量を減らすことができており、今後は完全に薬を止めれるようを目標に当院
においても治療継続中です。 続きをみる>

慢性腰痛

経絡(けいらく)治療は、全身の身体を調整するための本治法(ほんじほう)と実際に
症状が現れている患部に対する標治法(ひょうじほう)と言う2つの治療で構成され
ています。

本治法は、心身の状態を東洋医学独自のの望聞問切と呼ばれる診察法を用いて、、
どの臓腑経絡に歪みが生じているかを判断し、手と足にある要穴と呼ばれる重要穴に
対して主に鍼を用いて治療を施します。

この本治法によって自律神経が整えられ自然治癒力・免疫力も向上して行きます。
これは対症療法で患部にのみ治療をする一般的な鍼灸治療と大きく違う点です。

●患者 70代女性

若い頃に発症したギックリ腰がきっかけとなって30年以上腰痛に悩まされておら
れました。
来院時は数日前からギックリ腰様の痛みが発症して、左足にしびれも感じるとのこと
。寝返りなど日常生活にも支障がある状態です。

治療は、先ず急性の強い痛みを和らげる目的で、本治法と標治法を適宜施し、3回
ほどの治療で8割ほどの痛みを緩解することができました。
以後は、急性の痛みの再発予防と慢性腰痛の改善を目標に週に1度のペースで治療を
継続しました。

本治法では、腰に関わる腎と肝の経絡の気を整えることを中心に治療し、腰の部分
は、左右の筋肉の緊張の差が大きく出ているので、これを左右整える目的で股関節と
骨盤周囲に適宜治療をしました。
3ヶ月以上腰痛が続くものを慢性腰痛と呼びますが、本症例のように30年以上も腰
の痛みに悩まされている方も多くいらっしゃると思います。

現在、治療開始から1年半になりますが、経過は良好で、長年苦しめられてきた慢
性的な腰痛はあまり気にしなくなる補と改善しています。
立ったままの姿勢で靴下の脱ぎ着ができるようになったりなど、今までできなかった
動作がいろいろとできるようになって、大変喜ばれています。
そして腰痛の改善とともに足の冷えが軽くなり、全体的に体調が良くなって元気にな
られました。
精神的にも気力が出て積極的になり、今はハイキングや野球観戦に出かけるなど充実
した生活を楽しんでおられます。

また左の首、甲状腺の付近に小さな腫瘤があり、耳鼻科において経過観察中でした
が、治療継続している間に、この腫瘤が消失して無くなりとても喜ばれました。

このように経絡治療では、本治法によって生命力を根本的に強化できるので、訴えの
あった腰の痛み以外にも多くの面で健康体になって行くことができるのです。 続きをみる>