カテゴリー別アーカイブ: 症例紹介

DLPFC(背外側前頭前野)

東洋はり医学会なみはや支部のメーリングリストで、支部員の皆さんにも共有したいと思ったのが
「DLPFC(背外側前頭前野)」の話です。

先日、治療中の会話で興味深い気付きがありました。
子宮摘出の術後、パニック障害になった40代 女性の患者様です。

「脳の左右には、働きの違いがあるんですか?」と尋ねられ、右脳と左脳の働き、言語は左でイメージなどは右であるとか、DLPFCが左側頭部にあることなどをお話ししました。

その患者様の言うことには、側臥位で右半身を治療してもらうと、とても気分が良くなって楽になるとのことで、左右で感じが違うらしいのです。

そのようなことは言われたことも無いし、あまり考えたことがありませんでした。
でも単純に、右半身が左脳で、左半身が右脳に支配されていると考えれば、〈 右を治療することで左脳の興奮がおさまる 〉と考えることもできますね。

これは、なかなか面白い視点ではないでしょうか。

「DLPFC(背外側前頭前野)」:Dorsolateral prefrontal cortex
頭蓋骨に近い脳の表面の前頭部の一部がDLPFCです。

脳の各部位で喜怒哀楽の感情や、睡眠、食欲をコントロールしています。
判断、意欲、興味をつかさどり、機能が低下すると、やる気がなくなる:気力低下の症状が起こります。

腰痛においても、腰痛の原因が腰ではない(痛みの直接的な原因となる骨や椎間板の異常が見つからない)場合など、現代医学では、痛み回路の興奮が慢性腰痛の隠れた原因であるということがいわれるようになりました。

〈 腰の痛みの真の原因は脳にあり、脳の勘違いが腰の痛みを作り出している 〉ということです。
慢性腰痛の人の脳を詳しく診ると、脳にあるDLPFCといわれる部分の活動が低下していることがわかってきました。

メンタル治療においても、この辺りにも効いているんだろうと考えています。
置鍼などでDLPFCを意識した治療をしている他流派もあるようですね。

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「慢性上咽頭炎」

私が最近読んでいるのは「慢性上咽頭炎は東洋医学で治す」という図書です。
慢性上咽頭炎を専門にしている鍼灸師の著書です。

頚の凝りを取ると慢性上咽頭炎は治るという治療方針が書かれていました。
気になったのは、この疾患で毎月新たに50人近い患者さまが来院するという事です。

慢性上咽頭炎で悩んでいる人が多いのは確かだと思います。
この本の中でも書いてありますが、耳鼻科での治療は強い痛みを伴い、なかには失神する人もいるそうです。

当院でも、きつい偏頭痛で奈良から通う女性がこの疾患をもっていました。
この方も耳鼻科でこの治療を受けていて、「痛みが強く治療後は喫茶店で休まないと動けない」と悩んでおられました。

腎虚を中心とした〈てい鍼:刺さない鍼〉でのメンタル治療をしたところ、きつい偏頭痛も起こらなくなり、鼻の調子も良くなったと喜ばれました。

上咽頭炎は、鼻の症状以外に頭痛や耳の症状など、様々の原因になります。
40代女性で蓄膿を発症後、「鼻の奥の違和感がずっと残っている」と言う訴えでしたが、まさに上咽頭部の違和感です。耳鳴りで来院されている女性も、こちらも上咽頭炎だと推察されます。

上咽頭炎においては、頭部および鼻部の深い熱を冷ますことが良いと思います。
蓄膿の方の場合は後頚部、天柱・亜門・脳戸。風府辺りの緊張が取れて症状は無くなりました。
今も来院されていますが、鼻の訴えはありません。 続きをみる>

自律神経のみだれによる発熱

患者さま(中学1年生 女子)のケースです。




2週間前より、37.5 ~ 37.8℃ あたりをいったりきたりする 微熱が続いているとのこと。
病院でいろいろな検査をしても異常は見つからず、ストレスによる自律神経のみだれだろうという見解でした。

微熱の他に、身体のだるさと食欲不振があり、この2週間の間で登校できたのは2日ほどだそうです。身体を診させていただくと、顔面から頭部そして手のひらにかけては熱感があり、かなりしんどそうな状態でした。

これに比べて、足先はとても冷えており、冷汗も触知できました。
脈は力無く、やや早く打っていました。

この状態は冷えノボセで、東洋医学では「逆気(ぎゃっき)」といいます。
逆気は、主に腎の弱りから起こり、心とのバランスが崩れて心に熱がこもり、発熱や倦怠感などの症状を起こしています。

中医学ではこれを「心腎不交」と云い、不眠や動悸、頭痛などの原因にもなります。
鍼灸治療は、まず腎の弱りを強化して、心とのアンバランスを整えるようにします。
その上で、上半身にこもっている熱を冷まし下半身の冷えを除くようにします。

今回は、皮膚に触れるだけで施術できる、チタン製の鍼を用いました。
また、熱を取るのに優れた効果を出す鑱ざんしん:ラッパ型の刺さない鍼)と温灸も使用しました。チタンは、イオン化傾向が最も高く身体との親和性に優れており、生体電気のアンバランスを平衡化する働きを強く持った金属です。

脈にやや力が出て、ゆっくり打つようになったことを確認して施術を終えました。
3日後に再度診させていただいたところ、前回の治療後、帰宅して検温したら、平熱に戻っていたとのことでした。翌日からは、とても元気になり食欲も出てきたそうです。

今回は足の冷えも無く、ノボセの状態は解消されていました。
2週間続いていた発熱が1度の鍼治療で下がり、元気を取り戻したことは、施術者としてとてもうれしいことであり、身体の状態に対して適切な施術ができることと速やかな効果が得られることに改めて東洋医学のすばらしさを感じた症例でした。 続きをみる>

パーキンソン病

80代の男性で、パーキンソン病の治療に通われている患者さまがおられます。
パーキンソン病とは、脳の中の黒質と呼ばれる場所に存在するドーパミン神経が脱落してなくなっていってしまう病気です。

私たちの体は、大脳皮質からの指令が筋肉に伝わることによって動いています。この大脳皮質の指令を調節し、体の動きをスムーズにしているのがドーパミンです。 パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞がこわれて、作られるドーパミンが減ることによって発症します。

パーキンソン病では次のような特徴的な症状が出現します。
振戦(手足の震え)、動作緩慢(動作の鈍さ)、筋強剛(筋固縮)、歩行障害、姿勢反射障害(小刻みで足をすった歩き方)姿勢保持障害(転倒しやすさ)を主な運動症状とする病気で、50歳以上で起こる病気です。

進行性の病気で、一旦発症すると自然によくなったり治ったりすることはありません。大多数の患者さんは原因不明です。加齢に伴って発症しやすくなりますが、働き盛りの若いうちから発症する患者さんもいらっしゃいます。
時々は40歳以下で起こる方もあり、若年性パーキンソン病と呼んでいます。

パーキンソン病になると運動障害が現れるため、動くのが億劫になって生活の質が下がり、最終的には寝たきりになってしまう人もいます。症状の進行にともない体を動かしにくくなりますが、だからといって体を動かさないことは、運動機能の低下を加速させます。

冒頭の患者さまは、車椅子で奥さまと一緒に来院されています。
当初は会話も出来ない状態でしたが、通院されて8か月が過ぎたぐらいに、言葉が話せるような変化があらわれました。

ご高齢でもあり運動機能の改善は特にみられませんが、1年近くの治療を続けている現在、奥さまと従来のように会話ができ、施設のカラオケも楽しんでいると、奥さまも喜ばれています。

お薬は特に変えていないとのこと。
これは、経絡治療が脳血流に良い影響を与えた結果ではないかな、と感じております。 続きをみる>

お灸が奏効した鬱病

 東洋医学では鬱(うつ)病を気の不足・気の滞りとしてとらえています。
滞りとは、気が身体をスムーズに流れず停滞している状態です。
これは身体のいろんな所に不快症状を現します。

 気の不足とは、気そのものが消耗してしまい、文字通り元気が無い状態です。
 これは気力や・やる気・好奇心など心の力が無くなっている状態です。
 
●男性 40代会社員

 急に気分の落ち込みや今まで好きだったことに全く興味がなくなり強い抑鬱状態に
なり、同時に不眠と食欲不振に悩まされるようになり、心療内科で鬱症と診断されま
した。。
朝の倦怠感が強く、通常の勤務が難しく、三ヶ月間休職して自宅で療養をとっている
とのこと。
抗鬱薬と睡眠導入剤の服用を続けているが、鬱症状は改善せず、再び復職できるかど
うか不安になり当院に来られました。

 来院時、発症から四ヶ月が経過している状態で、気力・やる気が全く無く、一日中
家でぼんやりしているそうです。
診察してみると、腹部・脈ともに力が無く皮膚は緩んで弱々しい状態でした。
また後頚部には強い筋緊張が手に触れました。
気の不足がだいぶ進んでいると判断して、治療は気を増やすことを目標に脾と腎の経
絡を中心に施術しました。
また不眠を解消することで鬱症状も改善されるので、後頚部の緊張を取るようにしま
した。

 週に1回のペースで治療を継続しました。
開始後2ヶ月ほどは、あまり症状に変化がみられませんでしたが、腹部の緩みや脈力
は徐々に改善してゆきました。
治療開始から2ヶ月を経過した頃から夜だんだん眠れるようになり、少しずつ気力も
出てきたような印象を 持ちました。
気を補う目的で、自宅でも千年灸でお灸をしていただくように指導しました。お灸を
すると自覚的にも元気が出ることを実感され、毎日自宅でのお灸を続けていただいて
います。

 お灸を始めた頃から、鬱症状がかなり改善されて、気力や興味も出てくるようにな
りました。
現在は治療開始から4ヶ月経過し、ほぼ以前の状態に戻られ復職もされています。
抗鬱剤も量を減らすことができており、今後は完全に薬を止めれるようを目標に当院
においても治療継続中です。 続きをみる>

慢性腰痛

経絡(けいらく)治療は、全身の身体を調整するための本治法(ほんじほう)と実際に
症状が現れている患部に対する標治法(ひょうじほう)と言う2つの治療で構成され
ています。

本治法は、心身の状態を東洋医学独自のの望聞問切と呼ばれる診察法を用いて、、
どの臓腑経絡に歪みが生じているかを判断し、手と足にある要穴と呼ばれる重要穴に
対して主に鍼を用いて治療を施します。

この本治法によって自律神経が整えられ自然治癒力・免疫力も向上して行きます。
これは対症療法で患部にのみ治療をする一般的な鍼灸治療と大きく違う点です。

●患者 70代女性

若い頃に発症したギックリ腰がきっかけとなって30年以上腰痛に悩まされておら
れました。
来院時は数日前からギックリ腰様の痛みが発症して、左足にしびれも感じるとのこと
。寝返りなど日常生活にも支障がある状態です。

治療は、先ず急性の強い痛みを和らげる目的で、本治法と標治法を適宜施し、3回
ほどの治療で8割ほどの痛みを緩解することができました。
以後は、急性の痛みの再発予防と慢性腰痛の改善を目標に週に1度のペースで治療を
継続しました。

本治法では、腰に関わる腎と肝の経絡の気を整えることを中心に治療し、腰の部分
は、左右の筋肉の緊張の差が大きく出ているので、これを左右整える目的で股関節と
骨盤周囲に適宜治療をしました。
3ヶ月以上腰痛が続くものを慢性腰痛と呼びますが、本症例のように30年以上も腰
の痛みに悩まされている方も多くいらっしゃると思います。

現在、治療開始から1年半になりますが、経過は良好で、長年苦しめられてきた慢
性的な腰痛はあまり気にしなくなる補と改善しています。
立ったままの姿勢で靴下の脱ぎ着ができるようになったりなど、今までできなかった
動作がいろいろとできるようになって、大変喜ばれています。
そして腰痛の改善とともに足の冷えが軽くなり、全体的に体調が良くなって元気にな
られました。
精神的にも気力が出て積極的になり、今はハイキングや野球観戦に出かけるなど充実
した生活を楽しんでおられます。

また左の首、甲状腺の付近に小さな腫瘤があり、耳鼻科において経過観察中でした
が、治療継続している間に、この腫瘤が消失して無くなりとても喜ばれました。

このように経絡治療では、本治法によって生命力を根本的に強化できるので、訴えの
あった腰の痛み以外にも多くの面で健康体になって行くことができるのです。 続きをみる>

パニック障害が不安神経症に

パニック障害がお薬である程度改善された後も、不安感や動悸などの症状が長く続き
不安定な心身の状態で悩まされている方はけっこう多くいらっしゃるように思います

40代 女性

10年前に自動車の運転中に突然パニック発作を発症し、心療内科で薬物治療を受
けられました。
当初の強い症状は徐々に緩和されて行きましたが、パニック発作の再発に対する心配
や、特に何に対してと言うのではなく常に不安感が生活に伴うようになり、動悸や頻
脈・血圧上昇・息切れ、不眠、肩こりなどのいろんな症状に悩まされるようになった
とのこと。

 

脈を診てみるとやや速く打つ数脈(さくみゃく)で力が不足している印象でした。
腹部にも力が無くみぞおちの部分に冷えがありました。
肩こりが強く、特に左側の肩はぱんぱんに張って肩甲骨の動きも悪い状態です。

 

全身の経絡(けいらく)の状態を触れて観察してみると、膝から下の足の陽明胃経
(ようめいいけい)が強く緊張していて突っ張った感じになっていました。
足の陽明胃経は、足の太陰脾経(たいいんひけい)とともに飲食物の消化吸収を司り
、心身のエネルギーを生み出す働きをしていますが、精神的なことにも大きく関係し
ている経絡です。
不安神経症や鬱の傾向のある方では、この陽明胃経の緊張がよくみられます。

 

治療は全体的なエネルギー不足を解消する目的で、テイ鍼を用いて胃腸に関わる脾
と腎の気を増やすように施術しました。
テイ鍼とは、経絡治療で用いる鍼の一つで、ツボに接触させるだけで効果を上げるこ
とができます。

 

不安神経症や鬱症では脾の気を増やしてやることで症状の改善がみられることが多
いです。
脾像は、論理的な思考を司っていて、この脾の気が不足するとくよくよ考えたり堂々
巡りの思考パターンに陥ったりします。
また脾の気を増やす時には、心包(しんぽう)の気を同時に増やすようにしますが、
この心包の気を増やすことによって喜びの感情が芽生えるようになってゆきます。
合わせて恐怖心や不安に関係する腎の経絡をともに調整し、陽明胃経の気の滞りを流
すようにしました。

 

詳しくお話を聴かせていただいたところ、毎日ご自分の脈拍数を診ておられることが
わかりました。
どうしても気になることはわかりますが、そのような行動自体が症状の悪化や固定化
を促していることを説明して、脈拍数を数えることは止めていただくようにアドバイ
スさせていただきました。
このような治療を週に一度のペースで行ったところ、初回の治療からかなりの改善
がみられました。
通常このような精神的な症状が中心の場合にはある程度の治療の積み重ねが必要だと
考えていますが、本症例のように初回から諸症状が改善されて、以後5ヶ月を経過し
た時点でも精神的にも肉体的にも安定した元気な生活をおくっておられます。
長年鍼灸の臨床をしていても、本症例のように数年来の不調が一度の鍼灸治療で解消
されるようなことは希だと思いますが、時にそのような事に出会います。
そんな時には、東洋医学・鍼灸のすばらしさを再確認させられます。 続きをみる>

過労・ストレスによる体調不良

40代 女性  お仕事がハードで疲れが慢性的に貯まったために体調を崩された症例です。
長く続く疲労は、ストレスの原因の代表のようなもので、適宜疲れを解消できれば良いのですが、過常に貯まれば、副腎からストレスホルモンが過常に分泌され自律神経の働きを大きく崩していろんな体調不良を起こします。

 主な訴えは、毎日続く疲労倦怠感です。そのほかにも肩こり・頭痛・食欲不振・胃のむかつき寝付きが悪く熟睡できないなど睡眠のトラブル、足先がとても冷えて痛みを感じることもあるなどいろいろとありました。
 
 最初に来院されたのが8月の猛暑の頃でしたが、膝から下の足は本当に冷たく、ずっと触れているとこちらの手もひんやりしてくるほどでした。
 足は冷えているのに、首から上は少し微熱があり、冷えノボセの状態です。
 
 脈の状態は、指で触れてもわかりにくいい沈・虚の状態で、腹部にも全体に力が無く軟弱で無力、下腹部である小腹は冷えが強く感じられました。。
 このような身体の状態を、東洋医学では陽虚(ようきょ)と呼んでいます。
陽虚とはわかりやすく言えば身体と心のエネルギー不足の状態です。
交感神経の緊張もありますが、副交感神経の機能低下も顕著です。

 治療は人の生命力の根本である腎の陽気(ようき)を補って増やして行く方法をと
りました。
また補陽灸(ほようきゅう)を用いて背部の背骨の間にある陽気を補うツボ、足裏の湧泉(ゆうせん)穴などに適宜温灸を施して、身体全体の陽気を増やしてゆくようにしました。

 初回の治療終了後に視野が急に明るくなったと驚いておられましたが、陽虚の場合そのようなことが起こることはよくあります。
週に1度のペースで治療を続けたところ20回ほどで、体調はかなり改善され元気になられました。

最近ストレスの身体に及ぼすメカニズムとしてストレスホルモンと自律神経の興奮が注目されています。
不安や恐怖心などストレスによって引き起こされる感情は大脳の扁桃体と言われる所を興奮させ、それが腎臓の上にある副腎に伝わり、ストレスホルモンが過常に分泌されます。
このストレスホルモンによって、血圧上昇や動悸(どうき)を起こし、同時に自律神経の過緊張状態を招き、心身にさまざまな悪影響を与えます。

 東洋医学では2500年以上前から、不安・恐怖心と腎臓の密接な関係を説いてきました。
本症例も、その腎の治療によって奏効した一例です。
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パニック障害

パニック障害は、突然起こる激しい動悸や発汗、頻脈(ひんみゃく、ふるえ、息苦しさ、胸部の不快感、めまいといった体の異常と共に、このままでは死んでしまうというような強い不安感に襲われる病気です。







現代医学では、脳の興奮を引き起こすノルアドレナリンと、その暴走を押さえるセロトニンの二つの神経伝達物質のバランスがくずれることによって引き起こされると考えられています。

自律神経からパニック障害を診ると、交感神経と副交感神経のバランスがくずれ、

交感神経の過度の緊張状態が発作的に起こる状態です。







男性 30代







パニック発作を初めて発症したのは、10ヶ月前のこと、当初はそれほど悪くなかったが時間を経過するほどに悪化し、

急性胃腸炎を起こし救急搬送来院時もかなり悪い状態で、心療内科で当薬を受けておられましたが、

お薬が合わず薬を変える度に体調が悪くなる悪循環に困っておられました。







発症時から37度を超える発熱が続いており、手足に触れると暑く常に汗ばんでいる状態で、全身の倦怠感も訴えておられました。

精神的にも不安定で、いらいら感が強く夜も眠れないとのことでした。

胃腸の症状も強く、便秘と下痢を繰り返し、お腹に常に不快感があり、みぞおちから胸部にかけてのつかえ感が常にありました。

パニック発作時は、急激に強い不安感に襲われ、頭部から顔面にかけての熱感と大量の発汗がみられます。







診察すると、腹部全体が堅く緊張しており、背中の背骨に沿ってのこりが顕著に観察されました。

脈も速く打つ頻脈の状態で呼吸も浅く憔悴著しい印象でした。







精神の状態は、身体に現れていて身体を良い状態へ持って行くことで心身は改善されることをお話ししました。

治療にはある程度時間が必要であることをお伝えして、週に2回の来院を提案させていただきました。







経絡(けいらく)治療では、身体の熱をコントロールしている腎と心の経絡のバランスを取り、加えて胃腸を支配している脾の経絡の調整を中心に施術しました。。







治療開始時には、なかなか効果が現れませんでしたが、3ヶ月ほど経過して、背中の強いこりが緩み始め、お腹の緊張も少しずつ柔らかくなってきました。







その頃から諸症状が少しずつ軽くなって行き半年経過した時点では、ずっと続いていた発熱が治まり、足先は冷たく感じられるほどにまでなりました。







精神的にも安定してゆき、パニック発作も起こらなくなり、胃腸症状も改善されました。







現時点で、治療開始から1年3ヶ月を経過していますが、体温は平熱を保っていて、全体的に良好な状態です。

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ストレスによる胃のつかえで食欲が無い



20代 女性 会社員

 
 2ヶ月ほど前から、みぞおちの所につかえを感じるようになり食欲が無くなり、食
事を十分にとれなくなった。
体重は、1ヶ月半で6キロも減少している。
またのどにもつかえ感があり、常にのどの所に何かひかかっているような気がして心
配になって内科を受診されたとのこと。

 
 内科では精神的なものなので心療内科を受信するように勧められ十分に診てもらえ
なかったということで、当院に来院されました。
心療内科ではおそらく抗鬱剤などを出されると思い、そのような薬は飲みたくないと
いうことで鍼灸治療を選んだとのことでした。

  症状の出る前後のこどなどゆっくりお話を聴かせていただきました。
そうすると職場での人間関係の悩みでストレスを強く感じるようになり、身体にもい
ろんな症状が出るようになったことがわかりました。
初診時には身体的にも精神的にも本当に極まった状態で来院された印象を強く感じました。

 
 動悸や息切れの症状もあり、不安感と極端なマイナス思考の状態に陥っておられ、
頚や肩のこりも強く、交感神経が過緊張状態で副交感神経が機能低下を起こしていて
胃腸があまり働いていないような状態です。

 
脈診では、脈は速く打つ数脈(さくみゃく)で脈管には緊張があり、腹診では、みぞ
おちの部分から胃にかけて強く緊張した状態で少し押さえても痛みがありました。


 東洋医学では、このようなみぞおちのつかえを心窩満(しんかまん)と呼んでいます。
またのどのつかえ感や食道部に異物があるような感じがするのを梅核気(ばいかくき
)と呼んでいます。
これは梅の種がのどの所につかえたような感じがすることから名付けられたもので、
現代医学ではヒステリー球あるいは神経性咽喉頭部狭窄症と呼ばれています。
耳鼻咽喉科を受診される方も多くおられますが、のどや食道部には何も異常は認められません。

 
 心窩満も梅核気も、気の滞りで起こる症状です。肝は、身体の気の流れをスムーズ
にする働きをしていますが、ストレスなどで肝の働きが悪くなって、気の巡りが悪く
なると、このような症状を起こすことが多くあります。

 
鍼灸治療は、肝の経絡(けいらく)を整え、また消化器に関わる脾の経絡も合わせて治療しました。
のどと胃の部分に巡っている経絡の気の流れを良くし、また頚肩のこりに対しても接
触鍼で施術しました。
治療後、脈を観察すると、速かった脈は遅くなって、緊張も取れてゆったりとした状
態になり、みぞおちの緊張も少し緩んだのを確認して、初心の治療を終えました。

 
 2回目に来院された時は、初診時と打って変わって明るい印象を受けました。前回
にいろいろとお話を聴かせていただき安心感が出たのだろうと思います。
胃のつかえ感も少し少なくなったとのことで、以後およそ週に1度のペースで、同様
の治療を続けました。

  諸症状は徐々に軽くなってゆき、2ヶ月ほど経過した時点で食欲も元に戻り十分に
食べることができるようになりました。
梅核気(のどのつかえ感)は、4ヶ月を経過した時点で、ほぼ感じなくなって、体重
も元に戻りました。
以後は肩こりなどの治療で健康管理のために来院されています。

 
 このように強いストレスのために、いろんな症状が出て悩まれている方は多くいらっしゃると思います。
現代医学では、軽傷鬱の範疇に入るのではと考えていますが、鍼灸治療をすることで
抗鬱剤など服用することなく改善されることが多くあります。
経絡(けいらく)治療は、鍼灸治療の中でも自律神経・ストレス・精神的な症状に強い方法です。


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