カテゴリー別アーカイブ: 院長ブログ

年末年始の診療について

12月も半分を過ぎ、今年もあと半月となりました。
そのように意識すると、不思議となんだか気忙しくなりますね。

当院では、12月31(木) ~ 1月5日(火) 迄
休診とさせていただきます。

年内は30日の水曜までです。
新年は6日の水曜から始めます。
よろしくお願いいたします。 続きをみる>

「夢分流腹部打鍼術」

前回の腸脳相関でもそうですが、何度か話題にしている「夢分流腹部打鍼術」
(むぶんりゅうふくぶだしんじゅつ、と読みます。)

当院で行っている「夢分流腹部打鍼術」は、胃腸を整え水邪を取り除くことに優れているので、積極的に使用するようにしています。

「夢分流打鍼術」は、今から約500年前の安土桃山時代に、禅僧の御薗 夢分斎(みその むぶんさい)が編み出した治療法です。

◆ 御薗 夢分斎(みその むぶんさい)1559年(永禄2年)―1616年(元和2年)◆
戦国時代から江戸時代初期にかけての鍼医。
禅僧を経て鍼医となり、打鍼法による夢分流を興した人物。
伝書に『鍼(針)道秘訣集』がある。

夢分斎は京都大徳寺の閑松院の禅僧として修行していた際に、多賀法印より心得を授かった鍼術を、腹痛を長年患っていた病弱な母に試したところ効き目が現れたため、以後鍼医となって人々を救済したといわれています。

当時の夢分流鍼術は、経絡にこだわらずに邪気を探り当て、該当部位に小槌で金・銀の鍼を打ち込む、というものであったようです。

のちに、打鍼をするにあたっての診察、治療部位を腹部に限局し、さらに禅の考え方と組み合わせて理論的に展開し、「夢分流打鍼術」というひとつの流儀として、夢分斎はまとめ上げました。

それを弟子の御薗意斎(鍼博士となり、正親町天皇・後陽成天皇に仕えて御薗流創始者となった)に伝え、世に広まります。その後、奥田意伯という人物が「夢分斎先生の伝書」として刊行したのが『針道秘訣集』であるといわれています。




治療部位を腹部に限り、腹部の気のアンバランスを整えることによって、身体全体の治療を行う日本独自の鍼術です。「お腹を診てはいるけれども、全身における気の偏在を診ている」のです。
腹部の治療は、近年特に多く取り組んでいるメンタル治療においても、大きな働きをしています。

脉診流経絡治療を軸として、「夢分流腹部打鍼術」と「接触鍼」を組み合わせることにより、経絡と臓腑の両面から気のアンバランスを速やかに改善できる治療体系が出来上がってきました。

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腸脳相関

朝、出掛ける前、急に差し込むようなお腹の痛みに悩まされる… という方は、一定数おられます。
冬など気温が低くなると身体の冷えもあり、特にひどくなると言います。
下痢止めのCMのように、出勤前の途中、急な腹痛に困ったことはありませんか。

腸の運動は自律神経系がコントロールし、バランスが保たれています。
過度なストレスを感じると自律神経系のバランスが崩れ、腹痛や下痢が起こることがあります。
これが慢性的なものだと、過敏性腸症候群と診断される方が多いです。

起きて活動しているときは交感神経が働き、腸の働きが弱まります。
一方、休息しているときは副交感神経が働き、大腸の働きを強めます。
睡眠中は副交感神経が働き、大腸で水分が吸収されながら便が動いて、起床後に排便が起こるのが規則的なサイクルです。

ところが、大きなストレスを認識すると大脳辺縁系のような脳の深い部分に不安や緊張といった情動が発生し、脳の中心部にある自律神経系の最高中枢である視床下部に信号が送られます。

ストレスが大きければ大きいほど、その信号が過剰に伝わり視床下部がオーバーワーク状態になってしまいます。私たちの身を守るための警報のような働きをしてくれているともいえますが、これが過常に働きすぎると自律神経系のバランスが崩れてしまい、大腸の動きもバランスを崩し下痢を起こしやすくなるのです。

当院では、脉診流経絡治療を中心に「夢分流腹部打鍼術」を合わせ用いる事により、経絡と臓腑の両面から気のアンバランスを速やかに改善できるようにしています。 続きをみる>

マスクと口呼吸

連日コロナウイルス感染拡大の情報が入り、各地で警戒レベルが上がってきていますね。
感染対策のひとつとして定着している「マスク着用」ですが、それに伴う「口呼吸による不調」にも注意が必要です。

マスクの下、気が付いたら口がポカンとあいていることはありませんか。
最近はマスクをしている時間が多いため、息苦しさから口が開きがちになります。

ご存じの方も多いと思いますが、鼻ではなく口で呼吸をするのは、身体にはよくない習慣です。
口呼吸が習慣になれば、菌やウィルスが体内に入り込みやすくなり、免疫力の低下や感染症のリスクを高めるなど体調不良につながります。

口や喉の乾燥は、虫歯・歯周病・口臭・いびき・扁桃炎などの原因になりやすいだけでなく、身体が緊張状態と勘違いして、睡眠中も体を休められないというリスクがあります。

見た目にも影響があります。口が開いたままでいると、頬の筋肉の圧力が変わることで歯並びが変わったり、顎や舌の位置が正常でなくなることでも歯列がゆがむ原因になります。
顔のたるみ、シワ、二重アゴにもなりやすいです。

さらに、口呼吸により口まわりの筋力が衰えることで、この口呼吸が慢性化しやすくなることも考えられます。マスクの時でも、出来るだけ意識して口呼吸予防を心がけましょう。

また、口呼吸以外でも、マスクによる耳痛やマスクかぶれ(肌かぶれ)も問題になっていますね。
マスクを長時間していると、自分の呼気を吸い込むことが多くなって、血中の二酸化炭素濃度が高くなり、頭痛の原因になったり脳に悪影響が生じる恐れがあるそうです。

マスクについては必要なシーンでは使い、そうでなければできるだけ外す方が良いのかなと考えています。 続きをみる>

高血圧と自律神経

11月に入り、グッと朝晩が冷えてきました。
寒くなってきますと、よく耳にするのが「(寒さで)血圧が上がる」といった話です。

高血圧とは、血圧の高い状態が続くことをいいます。
血圧が高いために体に不調が出ている、と考える場合(動脈硬化などの身体構造的な要因など)もありますが、体に不調があるために血圧が高くなっている状態の方もいます。

それは、高血圧の原因が自律神経の乱れによって引き出されている場合です。
自律神経の一番の役割は、心臓・血管・リンパ管などの循環器をコントロールすることです。
循環器症状である高血圧も現れやすい症状といえます。

自律神経の交感神経が過度に緊張することで、血管が狭くなり、高血圧になることがあります。
実際に、交感神経優位で不眠が続いていたら、一時的に最高血圧180を超えてビックリした、という30代の女性もおられました。

自律神経失調症の方には様々な症状が出てきていますので、特に意識せずとも高血圧状態になることがあります。血圧測定を心掛け、日頃のバロメーターにするのも良いかと思います。

血管は、交感神経が強く働いている時に収縮し、副交感神経が強く働いている時には拡張します。
この自律神経がバランス良く働いていると、血管は適度に収縮と拡張を繰り返し、全身の毛細血管まで血液は行き渡ります。

これまでの臨床経験におきましても、自律神経失調症状を治療していくと、血圧が下がり安定してくることが分かっています。自律神経の乱れを整えてあげると、自然と血圧は安定してくるということです。 続きをみる>

ジグソーパズル

治療室のジグソーパズルはただいま秋バージョンです。


私の両親が作っているのですが、当院へいらっしゃる方へのおもてなしとして、季節に合わせた風景のジグソーパズルを飾るようにしています。

当院では風景画ですが、柄や模様のない難易度の高い単色無地パズル、というのもありますね。
通常、ジグソーパズルは絵や写真などの色や模様を手がかりに組み立てていきますが、無地の場合はひとつひとつのピースの形状だけを手がかりに解くことになります。

似たような形のピースがいくつかあったりしますが、平面状のパズルでは基本的に全く同じ形のピースは他にないそうです。難解で忍耐力を必要とするため、過去に宇宙飛行士選抜試験にも出題されたとか。白一色のものは「ミルクパズル」と呼ばれるそうです。

最近では平面的なジグソーパズルだけではなく、3Dパズル(立体パズル)と呼ばれる立体的なジグソーパズルも人気のようですね。

出来上がった後もインテリアとして飾ったり、花器やランプシェードとして楽しめるタイプなども。地球儀や月などの球形パズルの他にも、ビルや家、船なんていうのもあるようです。

ジグソーパズルの「ジグソー」とは、英語 jigsaw(糸鋸 いとのこ)のことで、木の板を糸鋸で切って作られたことが由来とされています。ピースの材料は紙が多く、コルクや木などもあります。

3Dパズルの場合、ピースの材質も様変わりして、ガラス・アクリル・プラスチックなどを使用したものも出ています。紙や木と違って耐久性や結合力が強く、のり付けしなくてもバラバラにならないので、オブジェとして飾っておくのに最適です。

ちなみに「プラダー・ウィリー症候群」の患者は、通常に比べてジグソーパズルを組むのが巧い(平均 約3倍の速さ)という研究報告があるとのこと。特定の事物に固執する特性や、形状・空間把握の能力に優れているためと考えられていますが、医学的にまだ詳しく解明されていません。

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ローズマリー・カンファー

私がいま勉強しているアロマについて、その中でも認知機能に良い「ローズマリー・カンファー」をご紹介します。

ローズマリーの精油は大きく分けて「シネオール」「ベルベノン」「カンファー」の、3種類があります。
ローズマリーカンファ―はハーブ感が強い、目が覚めるようなスッキリとした香りです。
精油の色は、ほぼ無色です。

カンファ―とは、樟脳(しょうのう)ともいいます。

樟脳(しょうのう)といえば、防虫剤などで聞いたことのある方も多いかと思いますが、「虫よけの木」として知られている、楠(クスノキ)の木片を水蒸気蒸留で抽出し結晶化させる方法などで生成されています。

カンファ―(樟脳)は、医薬名ではカンフルといいます。
「カンフル剤」という言葉でピンとくるでしょうか。ウコンに含まれる成分で、これを15%ほど含有するローズマリーカンファーはローズマリーの中でも一番刺激的なアロマです。

中枢神経を刺激することで心運動亢進・血圧上昇・呼吸量増大をきたし、かつては蘇生薬として知られていました。中枢神経興奮・防腐作用・局所刺激作用などがありますが、特に神経と筋肉へ働きかけるといわれ、筋肉疲労やデトックス系の循環促進に良いとされます。

筋肉痛や神経痛、こむら返りに効果があります。またその香りは交感神経を刺激するともいわれるため、精神的疲労や無気力にも効果的で、うつ症状にも使用されることがあります。神経を刺激して頭をクリアにして記憶力や集中力を高めます。

そして最近では、精油の成分が「認知症」に効果があるとして、医療の現場でも注目されることになりました。




ちなみに、ローズマリーはシェイクスピアの作品に多く登場します。
「愛しい人よ、これがローズマリー、思い出のしるし(私を忘れないで)」
という四大悲劇『ハムレット』のオフィーリアの台詞は有名です。

シェイクスピアの時代には、「記憶・思い出」や「長寿」を象徴するハーブとして知られていました。ローズマリーは、ハーバリストの活躍した17世紀頃のイギリスで大変人気を博し、実際に記憶力、集中力をアップするハーブとして知られています。

狂気のオフィーリアが、ハムレットだと思って渡したローズマリー。和名ではマンネンロウというそうで、 花言葉は「思い出」「記憶」「貞節」「誠実」「変わらぬ愛」と記憶に由来するものが多く、 アロマテラピーでは「記憶のハーブ」とも呼ばれています。

古来より親しまれているアロマの効用を知るほどに、今後の鍼灸治療との併用の展望を期待してしまう今日この頃です。 続きをみる>

逆流性食道炎と「心窩満」

日に日に秋めいてきています。
涼しくなったなぁと思ったら、また暑くなったり涼しくなったりの繰り返しですね。
季節の変わり目で体調を崩しやすい方が増えています。

食欲の秋、とは言いますが、食後に胸焼けがする、胃酸で喉がヒリヒリする、喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがする… そのような症状はありませんか。

当院のホームページでも『自律神経失調症』のページでご紹介している「逆流性食道炎」ですが、胃の不調や腹部の膨満感など、また食欲不振の訴えで、逆流性食道炎と診断されている方がおられます。

逆流性食道炎は胃液の逆流を防ぐ下部食道括約筋が加齢などによってゆるむと起こりやすいため、高齢者の病気と考えられていましたが、最近は若年層でも食生活や姿勢など生活環境の変化に伴い問題とされています。

治療では、特にみぞおちの所の緊張がポイントになります。
東洋医学ではこの部分の緊張を「心窩満」と呼んでいます。ここを緩めることが治療では目標になります。逆流性食道炎以外でも、メンタルに問題があると心窩満の状態になっています。

心窩満は主に肝の病床です。
肝気の調整を中心にして、腹部打鍼術で直接この部分の邪(緊張)を取るようにすることもあります。

また井穴(せいけつ)という手指や足指の爪の際にあるツボは心窩満には効果的です。井穴は精神安定の効果もあるのでよく使います。
爪の生え際、手足の末端穴にあたり、爪揉みなら自分でいつでも気軽に出来るセルフケアです。

また、みぞおちの緊張と、眉間の緊張は連動して起こります。人体の場合、眉間・人中・のど・みぞおち・股間など急所が並ぶ線などといわれる正中線にも関連しているのだと思います。 続きをみる>

鍼灸治療の皮膚刺激による「オキシトシン」

当院の治療法 のページや、このブログでも何度か登場している「オキシトシン」
鍼灸治療における皮膚刺激との関係について、今回は書いてみたいと思います。

皮膚に触れることで心身を癒す手技というのは、古来より世界中さまざまな文化で行われてきました。ギリシャの聖医ヒッポクラテスも触れて病を治したとされ、エジプトの壁画にも触れて病を治す場面が描かれていたり、中国の黄帝内経にも按摩の記述が残っているようです。

鍼灸治療に使用する鍼は髪の毛ほどの細さの鍼を用い、まったく痛みのない浅い部分、多くの場合は皮膚表面に触れるだけで治療が可能です。

子どもさん向けの小児鍼は、接触鍼という肌に優しく触れるだけの刺さない鍼ですが、かんのむし、夜泣き、アレルギーなど様々な症状に効果があります。

皮膚の浅い部分は、交感神経が優位に働いており、経絡治療によるソフトな鍼施術によって、交感神経の過緊張が収まり、心地よい感覚が得られ心身をリラックスモードに導きます。
皮膚に対して施術する経絡治療には、心の疲れを取り癒やす効果があります。

科学的には、脳の疲れを取り心を癒やすホルモンのオキシトシンが皮膚からも分泌されていることが発見され、近年注目されています。

また、皮膚感覚は心の状態を反映していることも解明されています。摂食障害の患者は皮膚感覚に鈍いことや、発達障害や認知症の患者も皮膚感覚に問題があることもわかってきました。

臨床において鍼灸治療はストレス関連疾患に対して有効であるとされていますが、このような、皮膚感覚は脳の働きに大きな影響を与えているという研究結果からも、鍼灸治療の可能性を感じております。

当院で多くしているメンタル治療は、皮膚に対する軽微な施術によって気の流れを正常に整え、気が滑らかに身体を流れるようにすることによって臓腑の働きを助け、心に効くと考えています。

美容鍼灸の話で触れたセロトニン、そしてオキシトシンも、鍼灸のメンタルに対する効能に関して大きな働きをしてくれています。 続きをみる>

東洋医学と「易」

今月の支部会の臨床雜話で触れた「易」の話をしてみたいと思います。

「易」というと、夜の繁華街の薄暗いところに机を置き占っている(ちょっと怪しげ?な)光景を思い出すことでしょう。易は確かに占いです。
しかし、易というのは、易学、易経。学問であります。

易は、地球上にある万物全てのうつろいを文字に表した最初の学問であり、「陰」と「陽」という符号を組み合わせたものです。

(地)、(山)、(水)、(風)、(雷)、(火)、(沢)、(天)

地から天まで、この8つの要素が、自然と人生を支配するものだと古代より考えられました。
(陰陽論の起源となる易経は紀元前7世紀頃、周の文王とその子、周公により成立したとされています。)

坤から乾は、地から天までの8つの要素を文字としてあてたものです。

「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」という言葉がありますね。
八卦とは、陰と陽を示す算木の組み合わせで得られる8種の形に由来しています。

この八卦と八卦をかける(八卦の8種類を2つ組み合わせて)8×8=64通りのパターンに分類されます。八卦は各々意味する事象を備え、この解釈によって占いが可能となるわけです。
ちなみに易者さんによる占いでは筮竹(ぜいちく)と呼ばれる竹の棒を使って占います。

東洋医学と易の話をすれば、一番良いとされている「地天泰」は
下の卦:陽が三つの乾天 / 上の卦:陰が三つの坤地、になっています。

この状態であれば、上の陰は下がり、下の陽は上って、陰陽の向流が行われます。
易では陰陽の向流で、物事が変化し発展すると考えています。
この反対の「天地否」では陰陽の向流が起こりません。

鍼灸治療も「天地否」の状態から「地天泰」の状態にするのが目標になりますね。 続きをみる>