奥田鍼灸院

「立春」の和歌

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「立春」の和歌

「立春」の和歌

2023/02/06

ここ数日は、過ごしやすい暖かさが戻ってきましたね。
暦でも立春を迎え、「春が立つ」と書くことからもわかるように、春が始まっているわけですね。

最近では日本酒の立春朝搾りなどが話題にあがることもあり、厳しい冬から春めく気配にはなんとなく気持ちがワクワクします。

さて、立春にちなんで、今日はすこし和歌をとりあげてみます。

◆『古今和歌集』紀貫之(きのつらゆき)
「袖ひちてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらむ」

意味 …(夏の日に)袖がぬれて(手に)すくい上げた川の水が、(冬の間は)凍っていたのを、立春の今日の風が吹き溶かしているのだろうか。

立春の日に 春の訪れのよろこびを詠んだ歌です。
夏から冬、そして春へと、歌の中にいくつもの季節のうつろいを感じさせます。


◆『万葉集』第20巻 大伴家持(おおとものやかもち)
「月数めば いまだ冬なり しかすがに 霞たなびく 春立ちぬとか」

(つきよめば いまだふゆなり しかすがに かすみたなびく はるたちぬとか)
 

※原文ですと「都奇餘米婆…」という仮名調子なのですが、単漢字のもつ意味は特にないので割愛します。

意味 …  暦の上では今はまだ冬です。そうはいうものの、霞がたなびいています。春がやってきたのでしょうか。

この歌を大伴家持が詠んだのは12月下旬頃とされているので、2月の立春の候ではありません。

まるで立春にワープしたかの如く「急に春がやってきた」感がありますね。

いまや古人と周りの環境こそ全く違いますが、吹く風や薄霞はきっと同じであったはずです。

季節を感じ、遠い いにしえに思いをはせる … などという風流な余裕があれば素敵ですね。
とかくセカセカしがちな私たち現代人ですので、たまにはこんな気の緩め方もありかなぁとご紹介してみました。

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