「夢分流腹部打鍼術」

前回の腸脳相関でもそうですが、何度か話題にしている「夢分流腹部打鍼術」
(むぶんりゅうふくぶだしんじゅつ、と読みます。)

当院で行っている「夢分流腹部打鍼術」は、胃腸を整え水邪を取り除くことに優れているので、積極的に使用するようにしています。

「夢分流打鍼術」は、今から約500年前の安土桃山時代に、禅僧の御薗 夢分斎(みその むぶんさい)が編み出した治療法です。

◆ 御薗 夢分斎(みその むぶんさい)1559年(永禄2年)―1616年(元和2年)◆
戦国時代から江戸時代初期にかけての鍼医。
禅僧を経て鍼医となり、打鍼法による夢分流を興した人物。
伝書に『鍼(針)道秘訣集』がある。

夢分斎は京都大徳寺の閑松院の禅僧として修行していた際に、多賀法印より心得を授かった鍼術を、腹痛を長年患っていた病弱な母に試したところ効き目が現れたため、以後鍼医となって人々を救済したといわれています。

当時の夢分流鍼術は、経絡にこだわらずに邪気を探り当て、該当部位に小槌で金・銀の鍼を打ち込む、というものであったようです。

のちに、打鍼をするにあたっての診察、治療部位を腹部に限局し、さらに禅の考え方と組み合わせて理論的に展開し、「夢分流打鍼術」というひとつの流儀として、夢分斎はまとめ上げました。

それを弟子の御薗意斎(鍼博士となり、正親町天皇・後陽成天皇に仕えて御薗流創始者となった)に伝え、世に広まります。その後、奥田意伯という人物が「夢分斎先生の伝書」として刊行したのが『針道秘訣集』であるといわれています。




治療部位を腹部に限り、腹部の気のアンバランスを整えることによって、身体全体の治療を行う日本独自の鍼術です。「お腹を診てはいるけれども、全身における気の偏在を診ている」のです。
腹部の治療は、近年特に多く取り組んでいるメンタル治療においても、大きな働きをしています。

脉診流経絡治療を軸として、「夢分流腹部打鍼術」と「接触鍼」を組み合わせることにより、経絡と臓腑の両面から気のアンバランスを速やかに改善できる治療体系が出来上がってきました。