月別アーカイブ: 2020年10月

ローズマリー・カンファー

私がいま勉強しているアロマについて、その中でも認知機能に良い「ローズマリー・カンファー」をご紹介します。

ローズマリーの精油は大きく分けて「シネオール」「ベルベノン」「カンファー」の、3種類があります。
ローズマリーカンファ―はハーブ感が強い、目が覚めるようなスッキリとした香りです。
精油の色は、ほぼ無色です。

カンファ―とは、樟脳(しょうのう)ともいいます。

樟脳(しょうのう)といえば、防虫剤などで聞いたことのある方も多いかと思いますが、「虫よけの木」として知られている、楠(クスノキ)の木片を水蒸気蒸留で抽出し結晶化させる方法などで生成されています。

カンファ―(樟脳)は、医薬名ではカンフルといいます。
「カンフル剤」という言葉でピンとくるでしょうか。ウコンに含まれる成分で、これを15%ほど含有するローズマリーカンファーはローズマリーの中でも一番刺激的なアロマです。

中枢神経を刺激することで心運動亢進・血圧上昇・呼吸量増大をきたし、かつては蘇生薬として知られていました。中枢神経興奮・防腐作用・局所刺激作用などがありますが、特に神経と筋肉へ働きかけるといわれ、筋肉疲労やデトックス系の循環促進に良いとされます。

筋肉痛や神経痛、こむら返りに効果があります。またその香りは交感神経を刺激するともいわれるため、精神的疲労や無気力にも効果的で、うつ症状にも使用されることがあります。神経を刺激して頭をクリアにして記憶力や集中力を高めます。

そして最近では、精油の成分が「認知症」に効果があるとして、医療の現場でも注目されることになりました。




ちなみに、ローズマリーはシェイクスピアの作品に多く登場します。
「愛しい人よ、これがローズマリー、思い出のしるし(私を忘れないで)」
という四大悲劇『ハムレット』のオフィーリアの台詞は有名です。

シェイクスピアの時代には、「記憶・思い出」や「長寿」を象徴するハーブとして知られていました。ローズマリーは、ハーバリストの活躍した17世紀頃のイギリスで大変人気を博し、実際に記憶力、集中力をアップするハーブとして知られています。

狂気のオフィーリアが、ハムレットだと思って渡したローズマリー。和名ではマンネンロウというそうで、 花言葉は「思い出」「記憶」「貞節」「誠実」「変わらぬ愛」と記憶に由来するものが多く、 アロマテラピーでは「記憶のハーブ」とも呼ばれています。

古来より親しまれているアロマの効用を知るほどに、今後の鍼灸治療との併用の展望を期待してしまう今日この頃です。 続きをみる>

逆流性食道炎と「心窩満」

日に日に秋めいてきています。
涼しくなったなぁと思ったら、また暑くなったり涼しくなったりの繰り返しですね。
季節の変わり目で体調を崩しやすい方が増えています。

食欲の秋、とは言いますが、食後に胸焼けがする、胃酸で喉がヒリヒリする、喉に酸っぱいものや苦いものがこみ上げてくる感じがする… そのような症状はありませんか。

当院のホームページでも『自律神経失調症』のページでご紹介している「逆流性食道炎」ですが、胃の不調や腹部の膨満感など、また食欲不振の訴えで、逆流性食道炎と診断されている方がおられます。

逆流性食道炎は胃液の逆流を防ぐ下部食道括約筋が加齢などによってゆるむと起こりやすいため、高齢者の病気と考えられていましたが、最近は若年層でも食生活や姿勢など生活環境の変化に伴い問題とされています。

治療では、特にみぞおちの所の緊張がポイントになります。
東洋医学ではこの部分の緊張を「心窩満」と呼んでいます。ここを緩めることが治療では目標になります。逆流性食道炎以外でも、メンタルに問題があると心窩満の状態になっています。

心窩満は主に肝の病床です。
肝気の調整を中心にして、腹部打鍼術で直接この部分の邪(緊張)を取るようにすることもあります。

また井穴(せいけつ)という手指や足指の爪の際にあるツボは心窩満には効果的です。井穴は精神安定の効果もあるのでよく使います。
爪の生え際、手足の末端穴にあたり、爪揉みなら自分でいつでも気軽に出来るセルフケアです。

また、みぞおちの緊張と、眉間の緊張は連動して起こります。人体の場合、眉間・人中・のど・みぞおち・股間など急所が並ぶ線などといわれる正中線にも関連しているのだと思います。 続きをみる>

鍼灸治療の皮膚刺激による「オキシトシン」

当院の治療法 のページや、このブログでも何度か登場している「オキシトシン」
鍼灸治療における皮膚刺激との関係について、今回は書いてみたいと思います。

皮膚に触れることで心身を癒す手技というのは、古来より世界中さまざまな文化で行われてきました。ギリシャの聖医ヒッポクラテスも触れて病を治したとされ、エジプトの壁画にも触れて病を治す場面が描かれていたり、中国の黄帝内経にも按摩の記述が残っているようです。

鍼灸治療に使用する鍼は髪の毛ほどの細さの鍼を用い、まったく痛みのない浅い部分、多くの場合は皮膚表面に触れるだけで治療が可能です。

子どもさん向けの小児鍼は、接触鍼という肌に優しく触れるだけの刺さない鍼ですが、かんのむし、夜泣き、アレルギーなど様々な症状に効果があります。

皮膚の浅い部分は、交感神経が優位に働いており、経絡治療によるソフトな鍼施術によって、交感神経の過緊張が収まり、心地よい感覚が得られ心身をリラックスモードに導きます。
皮膚に対して施術する経絡治療には、心の疲れを取り癒やす効果があります。

科学的には、脳の疲れを取り心を癒やすホルモンのオキシトシンが皮膚からも分泌されていることが発見され、近年注目されています。

また、皮膚感覚は心の状態を反映していることも解明されています。摂食障害の患者は皮膚感覚に鈍いことや、発達障害や認知症の患者も皮膚感覚に問題があることもわかってきました。

臨床において鍼灸治療はストレス関連疾患に対して有効であるとされていますが、このような、皮膚感覚は脳の働きに大きな影響を与えているという研究結果からも、鍼灸治療の可能性を感じております。

当院で多くしているメンタル治療は、皮膚に対する軽微な施術によって気の流れを正常に整え、気が滑らかに身体を流れるようにすることによって臓腑の働きを助け、心に効くと考えています。

美容鍼灸の話で触れたセロトニン、そしてオキシトシンも、鍼灸のメンタルに対する効能に関して大きな働きをしてくれています。 続きをみる>

東洋医学と「易」

今月の支部会の臨床雜話で触れた「易」の話をしてみたいと思います。

「易」というと、夜の繁華街の薄暗いところに机を置き占っている(ちょっと怪しげ?な)光景を思い出すことでしょう。易は確かに占いです。
しかし、易というのは、易学、易経。学問であります。

易は、地球上にある万物全てのうつろいを文字に表した最初の学問であり、「陰」と「陽」という符号を組み合わせたものです。

(地)、(山)、(水)、(風)、(雷)、(火)、(沢)、(天)

地から天まで、この8つの要素が、自然と人生を支配するものだと古代より考えられました。
(陰陽論の起源となる易経は紀元前7世紀頃、周の文王とその子、周公により成立したとされています。)

坤から乾は、地から天までの8つの要素を文字としてあてたものです。

「当たるも八卦(はっけ)当たらぬも八卦」という言葉がありますね。
八卦とは、陰と陽を示す算木の組み合わせで得られる8種の形に由来しています。

この八卦と八卦をかける(八卦の8種類を2つ組み合わせて)8×8=64通りのパターンに分類されます。八卦は各々意味する事象を備え、この解釈によって占いが可能となるわけです。
ちなみに易者さんによる占いでは筮竹(ぜいちく)と呼ばれる竹の棒を使って占います。

東洋医学と易の話をすれば、一番良いとされている「地天泰」は
下の卦:陽が三つの乾天 / 上の卦:陰が三つの坤地、になっています。

この状態であれば、上の陰は下がり、下の陽は上って、陰陽の向流が行われます。
易では陰陽の向流で、物事が変化し発展すると考えています。
この反対の「天地否」では陰陽の向流が起こりません。

鍼灸治療も「天地否」の状態から「地天泰」の状態にするのが目標になりますね。 続きをみる>