ストレスによる胃のつかえで食欲が無い



20代 女性 会社員

 
 2ヶ月ほど前から、みぞおちの所につかえを感じるようになり食欲が無くなり、食
事を十分にとれなくなった。
体重は、1ヶ月半で6キロも減少している。
またのどにもつかえ感があり、常にのどの所に何かひかかっているような気がして心
配になって内科を受診されたとのこと。

 
 内科では精神的なものなので心療内科を受信するように勧められ十分に診てもらえ
なかったということで、当院に来院されました。
心療内科ではおそらく抗鬱剤などを出されると思い、そのような薬は飲みたくないと
いうことで鍼灸治療を選んだとのことでした。

  症状の出る前後のこどなどゆっくりお話を聴かせていただきました。
そうすると職場での人間関係の悩みでストレスを強く感じるようになり、身体にもい
ろんな症状が出るようになったことがわかりました。
初診時には身体的にも精神的にも本当に極まった状態で来院された印象を強く感じました。

 
 動悸や息切れの症状もあり、不安感と極端なマイナス思考の状態に陥っておられ、
頚や肩のこりも強く、交感神経が過緊張状態で副交感神経が機能低下を起こしていて
胃腸があまり働いていないような状態です。

 
脈診では、脈は速く打つ数脈(さくみゃく)で脈管には緊張があり、腹診では、みぞ
おちの部分から胃にかけて強く緊張した状態で少し押さえても痛みがありました。


 東洋医学では、このようなみぞおちのつかえを心窩満(しんかまん)と呼んでいます。
またのどのつかえ感や食道部に異物があるような感じがするのを梅核気(ばいかくき
)と呼んでいます。
これは梅の種がのどの所につかえたような感じがすることから名付けられたもので、
現代医学ではヒステリー球あるいは神経性咽喉頭部狭窄症と呼ばれています。
耳鼻咽喉科を受診される方も多くおられますが、のどや食道部には何も異常は認められません。

 
 心窩満も梅核気も、気の滞りで起こる症状です。肝は、身体の気の流れをスムーズ
にする働きをしていますが、ストレスなどで肝の働きが悪くなって、気の巡りが悪く
なると、このような症状を起こすことが多くあります。

 
鍼灸治療は、肝の経絡(けいらく)を整え、また消化器に関わる脾の経絡も合わせて治療しました。
のどと胃の部分に巡っている経絡の気の流れを良くし、また頚肩のこりに対しても接
触鍼で施術しました。
治療後、脈を観察すると、速かった脈は遅くなって、緊張も取れてゆったりとした状
態になり、みぞおちの緊張も少し緩んだのを確認して、初心の治療を終えました。

 
 2回目に来院された時は、初診時と打って変わって明るい印象を受けました。前回
にいろいろとお話を聴かせていただき安心感が出たのだろうと思います。
胃のつかえ感も少し少なくなったとのことで、以後およそ週に1度のペースで、同様
の治療を続けました。

  諸症状は徐々に軽くなってゆき、2ヶ月ほど経過した時点で食欲も元に戻り十分に
食べることができるようになりました。
梅核気(のどのつかえ感)は、4ヶ月を経過した時点で、ほぼ感じなくなって、体重
も元に戻りました。
以後は肩こりなどの治療で健康管理のために来院されています。

 
 このように強いストレスのために、いろんな症状が出て悩まれている方は多くいらっしゃると思います。
現代医学では、軽傷鬱の範疇に入るのではと考えていますが、鍼灸治療をすることで
抗鬱剤など服用することなく改善されることが多くあります。
経絡(けいらく)治療は、鍼灸治療の中でも自律神経・ストレス・精神的な症状に強い方法です。