原因不明の筋痙攣

鍼灸治療を長年していると、時々西洋医学では原因がわからず改善が難しい症状でも
経絡治療で奏効する場合があります。
今回の症例は、全身の筋肉がぴくぴくと不随運動を起こすという男性です。

◇50歳代 左官業◇

今から10年近く前の症例ですが、印象深く記憶に残っています。
手や足、いろんな所の筋肉が常に軽いけいれんを起こしていて、お仕事や日常生活にも支障を生じて
おられました。触診してみるとまぶたの筋も細かく震えているような状態です。
まず考えられるのは脳に原因する中枢性の病だと思われましたが、脳神経外科などで詳しく検査しても
原因となるような事は見つからず、精神安定剤を処方されていました。

東洋医学では、筋の病は肝が深く関係しているとみます。
またお聞きすると筋のけいれんは、緊張すると強くなるということでしたので、精神的な緊張が交感神経の
高ぶりを起こし症状につながっていると診ました。
東洋医学の肝は交感神経との関わりが深いと考えています。

またお仕事でも筋肉に疲労を来している状態で、筋肉事態を緩める必要があると思いました。
治療は、肝を整える全身調整の鍼施術と、筋肉を緩める治療を行いました。
治療開始時にはなかなか症状の好転がみられませんでしたが、3ヶ月ほど経過してから徐々に症状が
軽くなってゆき、2年ほど週に1度の治療を継続して、当初の症状は消失しました。
西洋医学でも、最近になって筋肉は第2の肝臓であるとして、筋肉と肝臓との関係に
注目するようになってきました。2500年以上前に書かれた東洋医学の古典に、
既に「肝は筋を司る」と明記されていることに、驚かされる方も多いのではないでしょうか?