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夏の「汗」にみる体調のバロメーター(後編)

前回:夏の「汗」にみる体調のバロメーター(前編)に引き続き、「汗」と体調について書いてみますね。

汗がたくさん出ると、恥ずかしいという以外に、もうひとつ気になることがあります。

それは、汗による「臭い」です。
汗の原料は血液です。汗腺は血液の血球を除いた血しょうをくみ取って汗として排出します。
汗から塩分やミネラルなど体に必要な成分が排出されすぎないよう、汗腺は、汗が臭くなる成分を体で再利用されるようにするか、尿で外に出すように処理しています。
それが、急に汗腺の仕事量が増えると手が回らず、汗が臭くなる成分が汗と一緒に出てしまうのです。

汗腺の濾過(ろか)機能がしっかり働いていれば、残りはほぼ水分で、サラサラとした「良い汗」が出ます。汗は時間がたつと、皮膚の雑菌などによってニオイが発生しますが、かきたての「良い汗」は無臭です。

「良い汗」「悪い汗」については、健康番組などでも取り上げられておりますので、特徴をまとめてみましょう。

「良い汗」
・小粒でサラサラ
・限りなく水に近く、汗をかいてもスッキリ爽快
・皮膚の表面から蒸発しやすく、効率的に体温調節できる

「悪い汗」
・大粒でベタベタ
・汗腺の機能がうまく働いていない、血しょうの成分が残ったままの濃い状態
・水分が蒸発しにくく、体温も下げにくいことから、熱中症の原因にもなる
・大量に発汗するとぐったり疲れる
・含まれる成分に雑菌などが繁殖しやすくなることから、かいた直後からニオイが発生する

1日1回体を動かして、汗をきちんと出す事が重要です。
加えて、年齢によるものや食べ物、血行不良、睡眠不足からくる自律神経の乱れなどが原因になることもあります。

また、「悪い汗」は、おなかにも悪い影響を及ぼします。
「悪い汗」で体温を一定に保つには、大量に汗をかかなければなりません。そのため、体内の水分量が必要以上に失われてしまい、脱水症状をおこしやすくなります。結果、腸内の水分が少なくなり、お通じが滞ってしまう可能性があるのです。

さらに、お通じが滞り、腸内環境が乱れると、ニオイの元となる物質が腸の中にたまりがちになります。それらが腸から身体へと再吸収され、血液中をめぐり、汗とともに排出されることで、汗のニオイが強くなってしまうこともあるのだそう。

「悪い汗」をかいているときは、自律神経の中でも交感神経が優位になっています。すると、副交感神経への切り替えがうまくいかず、副交感神経が司っている腸のぜん動運動も滞ってしまうのです。エアコンのきいている部屋から炎天下に出た時や緊張している時などに、汗をかくとともにおなかの調子が悪くなるのは、そのためです。

東洋医学からみると、体から出る分泌液には、臓器不調のサインが隠れている場合があります。

「心」と「汗」は深い関係があります。
「心」が不調だと、ことあるごとに顔や体全体に「汗」をかきやすいとされています。
「汗」は、「心」の不調の他にも次のような体のサインを示すことがあります。

《起きている時に汗を大量にかく場合》
→「気(エネルギー)」の不足

《寝ている時に汗をかく場合》
→ 体の中の水分の不足

※通常の動きや運動によってかく汗は正常です。

外の寒暖の差に関係なくかいたり、昼間少し動いただけでだくだくと流れるようにかく汗は「自汗(じかん)」
寝ている間にかいて目が覚めると止まる汗は「盗汗(とうかん)」と言います。

頭部にだけかく汗は、熱が上にあがってしまっている時にかきます。

手足にかく汗は、体にとって必要な潤いが不足しているタイプに見られる汗です。夜に汗をかいたり、午後あたりから微熱が出ることもあります。

汗をかくことによる体感の気持ち悪さは、こまめに拭き取る、着替えるなどして調節し、夏はしっかり汗をかく!これが自然であり、大切なことなのです。

東洋医学では、次の季節の体調は、その前の季節をどう過ごすか、によると考えます。 続きをみる>

夏の「汗」にみる体調のバロメーター(前編)

猛暑猛暑と、本格的に厳しい暑さが続いておりますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
今年の異常な暑さには、十分な注意が必要ですね。テレビでは熱中症によるニュースを連日見かけます。


日本の夏は、高温多湿。蒸し暑いですね。
汗をかいてベトベトして、気持ち悪く感じることもあります。汗で服がびっしょりになるのを避けるのは、身だしなみのひとつかもしれませんが、夏は汗をかいて当たり前。
汗をかくのは「脳を熱から守る」ため、汗をかくことは大切なのです。
今回は、夏の「汗」について書いてみたいと思います。

汗の一番の役割は、蒸発する時の気化熱によって体温上昇を防いで、体温を一定に保つこと。
体温調節をするのは、体内の細胞や器官、特に、脳を熱から守るためです。脳は熱に弱いので、暑さを感じると体に汗をかかせて体温調節をして熱くなりすぎないように守ります。
人間は脳が発達したからこそ、他の動物よりも汗をかくための機能、汗腺も発達したのです。

汗腺は皮膚にあり、汗をつくる場所です。日本人の汗腺は約230万あると言われています。
しかし、全ての汗腺が毎日働いているのではありません。稼働している汗腺もあれば、お休みしている汗腺もあるのです。バリバリ働いて汗を出している能動汗腺の働きが適切ではないときに、汗が多く出てしまいます。


なぜ能動汗腺がうまく働かなくなってしまうのでしょうか?
いつも快適な温度で過ごしていると、汗腺は汗をかく仕事をしなくてもよくなります。やがて、体が「別に汗腺が頑張って仕事をしなくても体温調節ができる」と判断すると、働く汗腺の数が減っていきます。
そして、急に暑い外に出ても、汗腺はうまく対応できなくなるのです。

しかし、汗をかかないと体温が上がりすぎて危険なので、汗腺はとにかく汗を出そうとします。
適切な汗の量まで考えられませんので、大量の汗が出てしまうわけです。

これを解決するには、能動汗腺の機能を高め、数を増やすことが必要です。
つまり、汗をかく機会をつくることが必要なのです。
ちょっと長くなりそうなので、今回はこのぐらいで。続きは後編で書かせていただきます。 続きをみる>

東洋医学からみる「蚊に刺され」

三連休も明けてもう少ししたら、子どもさんお待ちかねの夏休みですね。
山・川・海・花火に旅行・・ 夏のレジャーも楽しみなこの時期、外出先で気になるのは紫外線もさながら、『蚊』にさされること。半袖やサンダルなど肌の露出が増えるこの時期、気になりますね。“ぶ~ん”と枕元でする蚊の音、刺された時の痒み、皮膚に残る刺された跡など、ささいな事ですが、ストレスになりがち。さらに感染症の媒体でもあるので厄介です。

蚊に刺されやすい人といえば、
・血液型(O型が一番刺されやすい)
・体温が高い
・飲酒状態の人
・体臭の強い人
・運動をしている人(汗をかいた状態)
・妊娠中の人
・色黒、または黒っぽい服を着ている人
これらが一般的によく言われる、蚊に刺されやすい人の特徴かと思います。

蚊は動くものに反応し、汗の臭い、汗に含まれるアセトン・乳酸、二酸化炭素、体温などに反応します。また、蚊の色覚は白と黒の2色で、濃い色を好むため黒っぽい服装や色の黒い人がターゲットになりやすいという理由からです。血液型については研究者によって諸説あるので、明確な根拠はないようですが・・

東洋医学からみる「蚊に刺され」やすい状態とは、何でしょう?
・蚊は、酸化して老廃物の多いドロドロ血液(瘀血:おけつ)を好む
・イライラした状態、熱がこもっている体質
・身体のバランスが崩れている人

蚊に刺されやすい人は、動物性たんぱく質や甘いものの食べ過ぎで、血が汚れており、解毒器官の肝臓と腸が疲れて弱っている状態です。(近頃ではマクロビオティックの方面でも取り上げられています。)

では、「血液が酸性状態になる」食べ物とは、一体どんなものなのでしょうか?
・白砂糖、砂糖の入ったジュース
・果物(特に熱帯産のもの)
・化学調味料、添加物を多く含む食品
・コーヒー
・動物性の食品(乳製品・練りもの含む)

普段、私たちの血液は弱アルカリ性です。代謝する過程で身体の中には“酸“が作られますが、肺から二酸化炭素として、尿からそれぞれ排出されています。
さらに血液の中和作用により血液中のpHは比較的一定に保たれるようになっています。
しかし、血液が酸性状態になりやすい食べ物の摂取量が多いと血液は酸性に傾き、体は陰性に偏っていきます。

昆虫は動物に比べて、酸化したものを好んで食する傾向があります。血液のミネラルが、動物は鉄(赤色)で、昆虫は銅(緑色)であることが関係するのかもしれません。
酸化された血液が肌の表面近くにあると、そこから蚊にとって美味い血液の匂いがして引き寄せられ、奥まった所や薄い衣服の上からでも刺してくるのです。
やたらと蚊に刺される人は、酸化されやすくなった血液が肌の表面近くで澱んでいる人だ、と言えます。また、人がイライラすると、その人の体の中で血液の流れの悪い場所の血液が、瞬時にドロドロに変化します。

「蚊に刺され」の症状は体のバロメータでもあります。
蚊が刺したところは、肝臓の急所だったり、汚れた血が溜まっているところだったりするので驚きです。もちろん肌が露出しているかどうかも影響があると思いますが、刺されてしまった場所は老廃物が特にたまっている場所だと考えられます。

蚊は、東洋医学的な診断(陰陽五行理論)で導き出されてくるツボのあたりを刺してきます。
※ヤブ蚊は別です。肌の露出しているところを無差別に刺してきます。
体のバランスが崩れると、体調に対応する「経絡」の関所であるツボを通る気の流れが悪くなります。気の流れが悪くなると、それに従って血液の流れも澱みます。川の流れと同じで、流れの澱んだ血液は腐敗の方向(酸化)に進みます。

虫刺されの痕が、経絡に沿って出ているというのは、時々観察されることです。
陰陽五行理論で経絡を考えると、体のどこの部分をよく蚊にかまれるかで、その人の体調をかなり正確に推測できます。血液が汚れているとき、実は、蚊はその老廃物の多い酸化した血液を吸い取ってくれているんですね。 続きをみる>

HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)特性

記録的大雨から一変、梅雨明けの夏らしい天気になりました。セミの声も聞こえ始めましたね。
今般の集中豪雨によって甚大が発生していること、被害を受けられました皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

どんよりとした天気が続いたり、痛ましいニュースが連日放送されたりすると、気分が沈みやすくなる方は少なくありません。感受性が強い人は特に落ち込みがちです。
今回は自律神経失調症とも関連のある、HSPについて書いてみたいと思います。

HSP(Highly sensitive person:ハイリー・センシティブ・パーソン)とは、「生まれつき繊細で感受性が強すぎる気質の人」のこと。

ハイリー・センシティブ・パーソン(英: Highly sensitive person, HSP)とは、生得的な特性として、高度な感覚処理感受性(あるいは、カール・ユングの造語で言えば生得的感受性)を持つ人のこと。共通して見られる特徴として、大きな音、眩しい光・蛍光灯、強い匂いのような刺激に対して敏感であることが挙げられる。HSPはしばしば、豊かで複雑な内的生活を送っているという自覚をもっている。物事に対して容易に驚き、短い時間にたくさんのことを成し遂げるよう要求されると混乱するという性質を持つ。

ハイリー・センシティブ・パーソン - Wikipediaより引用

HSPは、生まれながらにして持つ感受性で先天的にその人の中にあり、生まれた後に育っていく中で確立されていく後天的なものではない(環境要因で変わるものではない)特性です。

HSPの人の特徴として

・物音や光、食べ物の味やにおいや身につけるものの触感など、五感に関する感覚が敏感
・痛みに過敏
・人の顔色を気にしがち
・他人の感情や言葉、気などの影響を受けやすい、同調しやすい
・人ごみや大勢集まる飲み会などが苦手、一人の時間を大切にする
・日頃からささいなことに疲れやすい
・頼まれごとに対して断れずに自分のことを責めやすい

という事が挙げられます。診断チェックリストも各サイトであるようなので、気になる方は一度検索してみてください。【HSP診断テスト】

発達障害と誤認されがちですが、大きな違いは、発達障害は人の気持ちを読むのが苦手で、HSPはむしろ人の気持ちを読み取りすぎて疲れてしまう傾向にあります。

この人は神経質で面倒だなと感じたり、自分が周囲の人と比べて異常なほど繊細だと感じたりすることは意外と身近なもので、HSPは全人口の約20%、およそ5人に1人がHSPの特性を持っていると言われています。

HSPの特徴を知らないでそのまま放置しまうことによって、睡眠障害やパニック症状を起こしてしまうことも出てきます。さらには、精神的に悩んでしまい、自律神経が乱れてしまったり、うつ病などにもなってしまう可能性もあります。
気質を自覚してから、随分と楽になったという方もおり、多くの人がもっとこの気質を理解したら生きやすい社会になるのではと思います。

HSPの人は普通の人より繊細なのでストレスを受けやすく、疲れやすいという特徴を持っています。いつも周りに気を遣っているためヘトヘトになりやすく、楽しいことであってもグッタリと疲れてしまう傾向があります。
疲れやすいのは、普段から無意識に周りの刺激をアンテナのように拾い集めているため、人混みにいる時や、周りの人のネガティブな感情に巻き込まれている時にも大きく消耗してしまいます。

出来れば、周りのことを気にし過ぎないようにするのではなく、熱中できること、集中できることに打ち込むのがベストです。仮にそのようなことがすぐ見つからない場合は、意図的に選択肢を減らし、やることを絞るのがよいでしょう。

東洋医学では、このような感覚の過敏性を五臓の心の働きであると考えています。
心は肝の蔵とも深い関係に有り交感神経の過緊張にもつながってきます。経絡治療による調整によってリラックスモードに導くことで心身の苦痛を和らげることが可能だと考えています。 続きをみる>

夏至、一年の折り返し

夏至を迎えました。一年中で一番昼が長く、夜が短くなる時期ですね。
毎年のように猛暑猛暑といわれ、暑さは日に日に増していきますので、あまり実感はできませんが日照時間は少しずつ冬に向かって短くなっていきます。
そう思えば、この夏も乗り切れるような気がするような・・?(気のもちようではありますが、考え方としては)冬に近づくと思えば、暑さも和らいでくるように感じませんか。

夏至は陰陽が入れ替わる時期であり、これまで増え続けてきた陽気が徐々に衰え、陰気が増えてゆくターニングポイントです。
陽気が減り陰気が増える、とはいっても本格的な暑さはこれからなのですが、そんな状況でも季節は確実に秋に向かって進んでいるということです。
鍼灸治療においても、夏至を過ぎた頃から陽気をフォローアップする目的で温灸を用いる事が多くなってきます。そうすることで、秋に入った時期に起こる種々の体調不良に対処できるようになります。

7 月に入ると、一年の下半期、一年の折り返し地点を通過したという感じがします。
7/2は「一年の折り返しの日」だそうです。前半と後半の暦月の日数のバランスが異なるので、折り返しの日はちょうど7/1ではなくて、 7/2となります。

1年の半分が過ぎるこの時期、この半年のうちに知らず知らずのうちに人や生きものを傷つけたりしてたまった罪や穢れを祓い、残り半年の無病息災を祈願する神事、「夏越の祓(なごしのはらえ)」が行われます。
旧暦の6月末に行われる「夏越の祓」は、由来は神話の伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらい)にまで遡るそうですが、新暦に移った現在でも、6月30日ごろ日本各地の神社で行なわれている伝統行事です。

六月の末日(晦日)は、十二月の大晦日と同じく「大祓(おおはらえ)」の日です。
大晦日の年越し行事のような派手さはありませんが、「夏越の祓」も心身を清めてお盆を迎える大切な節目の行事とされています。
この日は全国各地の神社で、厄落としの方法として「茅の輪くぐり」が行われます。
茅の輪とは、茅萱(ちがや)という草などの植物でつくった輪のことです。
神社の境内に作られた大きな茅の輪の中を「水無月の夏越の祓する人は、千歳(ちとせ)の命延(の)ぶというなり」と唱えながら8の字を書くように3度くぐり抜けます。茅の輪をくぐることで、病気や災いを免れることができるとされています。

夏越の祓には、「水無月」(みなづき)という和菓子を食べる風習があります。
水無月はひんやり冷たい白のういろう生地に小豆をのせ、三角形に包丁されたお菓子ですが、それぞれに意味がこめられています。水無月の上部にある小豆は邪気を払う意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれています。
水無月は、特に京都の方では6月の和菓子として当たり前のように定着しており、中でも夏越しの祓のころに食べると無病息災で過ごせるとされ、夏越しの祓の行事食として取り入られてきました。

古来からの季節の行事を上手に取り入れ、時季の風情を楽しむのも粋ですね。
今年の後半も元気に過ごせるように、まずはこの夏を乗り切る暑気払いをしてみてはいかがでしょうか。 続きをみる>

震災後の不眠症状について

先日は、大阪で久しぶりに強い揺れを体感しました。
このたびの大阪府北部地震により、被害を受けられました皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

当院は被害はありませんでしたが、来院されている方の中には食器が割れたとか電子レンジが落ちて壊れたとかの話を聞きました。また、揺れの強かった枚方・高槻・茨木・摂津 方面から来院されている方もおられます。茨木市・摂津市からでは大阪モノレールを利用しての来院もあります。
モノレールも地震以降は止まっていましたが、便数を減らして再開しているそうです。

当院がある守口市でも、6月18日の地震発生直後から市内の全31避難所を開設していました。
現在は体感できる余震は減ってきましたが、大阪府北部を震源とする余震は35回を超えています。

避難生活では、慣れない環境の中でストレスも増し、睡眠もままならない状況…というのは想像できますが、避難所以外でも、余震の恐怖から逃れられず、寝ていても眠りが浅いためにすぐ目覚めてしまう方もおられます。
「本震よりも余震のほうがストレスを生みやすい」とよく言われるのは、本震の揺れがトラウマになって「またいつか来るのでは」という不安感が強くなり、脳で恐怖が生まれやすくなるためです。揺れていなくても常に揺れているような感じがして、小さな余震でも大きな恐怖につながってしまうといいます。

また、大きな震災後の不眠は、被災地以外でも生じています。被災地にいる親族や友人知人を気にかけたり、繰り返しテレビなどで流れる報道が脳裏から離れず、夜中に不安を感じて寝つけない夜を過ごしたという人も多いといいます。
震災のような大きなストレスを受けたときに、多くの人は不安を感じ、過剰に覚醒した興奮状態になります。(情動の興奮、「情動的過覚醒」というそうです)
これが夜の間中も持続するために、自然な眠りの導入を妨げます。

通常の場合には、不安の原因が解決するにつれて、興奮状態は自然に緩和されて、不眠症状も改善していくようです。そのため、震災後の数週間にみられる不眠に対しては、あまり心配する必要はありませんが、2ヶ月近い長期の不眠は注意が必要です。不眠症状だけではなく、日中に不眠による深刻な問題がある場合には治療も必要になります。

ストレスや不安感は、脳の松果体(しょうかたい)と言う部分を興奮させ、それが隣接する自律神経の中枢である視床下部に伝わり自律神経のみだれ、特に交感神経の過緊張を引き起こし、身体に様々な不快症状を現すようになります。
地震による不眠の他に、交感神経緊張による疲労感も訴えられています。

取り急ぎの不眠解消方法としては、不安を少しでも減らすことです。
例えば、余震が不安であれば避難グッズを準備する・いま一度点検してみる、避難所・避難経路を確認する、地震情報をチェックする、など、行動に移すことで少し気持ちが落ち着くこともあります。

眠りの面でいえば、睡眠時は体を冷やさないことです。
体の冷え、特に足の甲や手の甲が冷たいと、寝つけなくなります。薄着で寝たり・掛布団なしの状態など冷やしすぎないように、場合によっては靴下や手袋をするなどして、できるだけ手先や足先を温かく感じられるように工夫すると眠りやすくなります。

また、日中に活動したり、太陽の光を浴びたりして過ごすなど、昼夜にメリハリを付けると生物時計を調整しやすくなります。朝には燦々と朝日を浴び、反対に夜には明るい照明を浴びないようにしてリラックスして過ごせば、脳に信号が送られて睡眠を得やすくなります。 続きをみる>

梅雨の養生

関西地方も先週に梅雨入りしましたね。
去年よりも14日早く、平均でも1日早い梅雨入りだそうです。

東洋医学では梅雨を「長夏(ちょうか)土」の季節としています。
梅雨入りから梅雨明けの時期、そして8月以降の台風などが来る期間の、高温多湿のシーズンを長夏(ちょうか)と言います。(長夏は東洋医学の独特の概念で、湿度がある季節のことになります。)
また、「土用の丑の日」といわれる土用ですが、四季それぞれの土用(立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことを指します)の時期も長夏に当てはめています。

《土の季節の養生法》
長夏は、五行の「土」の性質を持ったシーズンです。土には、魔物を生み出し再生するなど【壊】と【創造】という強い力を内在しているので、心身に不具合を起こしやすい時期です。
反対に、この季節をうまく乗り越えられると、一年を健やかに過ごすことができます。

長夏の時期は、何事にも無理をしないことが大事です。
五行説で「土」の季節は、「脾胃」と密接な関係があります。東洋医学の脾胃は、現代医学における胃腸の働きにあたり、飲食物を体内に取り入れ、消化吸収し、生命エネルギーに変換してゆく、大切な働きをしてます。

この季節、脾胃は活発に働くのですが、暴飲暴食などで胃腸に負担をかけるとその働きが低下し、全身倦怠感や手足や顔面のむくみ、食欲不振、口内炎、便秘下痢、関節痛など脾胃の弱りに原因する様々な症状が現われます。消化吸収や血液をコントロールする役割を持っている脾胃の働きが落ちると、生命エネルギーである「気」が作られずに、食欲不振、やる気が出ない、疲れやすいなど「気虚(ききょ)」の症状が出ます。

脾胃は、生命エネルギーである気血を生成して全身に行き渡らせる大事な働きをしていますが、これがうまく働かなくなると、全身に悪影響を及ぼします。高温多湿のこの時期は、通常よりも胃腸に負担がかかるので、胃腸に余力を持たせるよう、腹八分目で、食事の際は良く噛む(咀嚼する)ように心がけましょう。

脾胃の働きが低下すると、身体に不必要な水分(水邪)が停滞し、むくみや身体の重だるさ、関節の痛みやこわばりの原因となります。
水邪を取り除くためには排尿と排便が大切です。腎臓の働きを強めるゴボウ、利尿作用がある豆類を積極的に取るように心がけましょう。
またこの時期は、適度な運動で発汗することでも、体内の水邪を除くことが可能です。

梅雨時期の鍼灸による経絡治療では、主に脾胃の働きを強化するために、脾経と心包経(しんぽうけい)を調整します。また、熱から心を守るために、腎の経絡も合わせて調整することが多いです。腎は温めることで強化できるので、温灸などで腎を補陽します。
他には、夢分流打診術で腹部の調整を行い、水邪を取り除いてゆきます。 続きをみる>

植物の恵に感謝


画像は、治療室で育てているエアプランツと植物標本のハーバリウムです。

「エアプランツ」は土のいらない不思議な植物です。むしろ土に植えてしまうと、蒸れて枯れやすくなってしまうそうです。
育てる手間がかからないことや、ホームセンター・100円ショップなど身近に手に入ることから、インテリアとして流行っていますね。
土に根を張らずに育つことができるのは、葉っぱが空気中の水分を吸収するからなんだそうです。だからといって水やりが不要なわけではなく、ある程度の頻度で水やりをする必要はあります。

室内であればいつでも育てはじめられますが、夏の暑さは苦手なようです。大切に育てていると鮮やかで花を咲かせることがあるとのこと。いつかその姿を現してくれることを楽しみにしています。

また「ハーバリウム」は、もともとは【押し花などを含めた植物標本】のことをさす言葉なのが、最近では【ドライフラワーを透明な液体とともに瓶詰めしたタイプ】のものがインテリアとして注目がされているようです。
瓶の中に満たされている液体は、ハーバリウム専用の特殊なオイルで、この中にドライフラワーやプリザーブドフラワーを漬け込み、生花よりも長く楽しめるのが特徴。その美しい色合いを約1年程保つことができ、贈り物としても人気だそうです。

さて、二十四節気では芒種の暦。
芒種、とは「稲や麦の穂先のように芒:のぎ(とげのようなもの)のある穀物の種まきをする頃」という意味であります。
全国的にも田植えの繁忙期ですね。つい、梅雨の長引く雨がうっとうしいものだと思いがちですが、雨の恩恵を受け、緑豊かにスクスクと育つ様を、私たち人間は感謝しなければいけませんね。 続きをみる>

東洋はり医学会なみはや支部 5月支部会報告

5月27日(日)は、なみはや支部の例会でした。

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いつも通り、今回も有意義な研修ができました。
私が担当している臨床雑話では、最近興味のある距骨(きょこつ)調整について、書籍の紹介と併せてお話ししました。
「距骨を整えれば不調が治る」 監修 志水剛志

全身を支える土台である「距骨(きょこつ)」は、足関節の奥深く、足の脛と踵の骨の間にブロックのように挟まっている骨です。
これが身体の前後左右のバランスに大きな関係があることが分かってきました。

この骨は、どの筋肉にもつながっていないために、距骨自体に痛みや違和感が起こることはありません。立つこと・歩くことなど、ごく普通の日常生活動作でも、簡単に距骨の位置がずれてしまい、その「ずれ」こそが身体全体のバランスを崩して、多種多様な不調を起こすことになります。

多くの方は、距骨が前後、内外に傾いています。
距骨の歪みこそが、外反母趾をはじめ、膝や腰の痛み、肩こりや頭痛、他にも冷えや胃腸の不調・自律神経の乱れなど全身症状についても原因している可能性があります。

書籍には、この距骨のずれを整えるセルフケアの方法も紹介されており、当院でも距骨の調整が必要な方には、セルフケアの方法を指導させていただいております。
鍼灸においても、この距骨の場所には、【申脈】と【照海】という全身症状に対して大きな効能があるツボが存在していて、日々の鍼灸治療に活用しています。
これらのツボの作用が、距骨の調整につながっているのではないかと考えています。

距骨の歪みを整えることで、様々な痛みや不調の無い健康な身体を取り戻していきます。
このことは、私にとっても ひとつの気付き・発見につながったように思います。
申脈・照海のツボを長年使って来ましたが、これが最近分かってきた距骨の働きにリンクして、一つの謎が解けたようで、とても興味深いです。 続きをみる>

食と自律神経の関係

自律神経が乱れる原因として、まず考えられるのはストレスです。
長時間労働・職場における人間関係・ホルモンの異常・生活リズムの異常など、これらのストレスに加えて、自律神経を乱れさせる原因として「食の問題」があげられます。

もちろん栄養不足だけが原因で、うつ・自律神経失調症になることはまれです。
精神的ストレスなどがあり、それと共に化学的ストレス(栄養の偏りなど)があると、うつ・自律神経失調症になる可能性があります。栄養の過不足も原因の一つとして、気をつけなければならないものです。

自律神経を乱れさせる原因としては

  • 【糖質中心の食事】
    特に摂取量を控えたいのが白砂糖です。血糖値が急上昇する吸収の早い糖を大量に取ることで起こる“低血糖”は精神を不安定にします。白砂糖やそれを多く含む食品、菓子類、ジュース類、果糖の多い果物もほどほどにすることをお勧めします。甘みは白砂糖でなく、オリゴ糖などの血糖値を急激に上げない糖を使うのも良いかと思います。

  • 【腸内環境が悪くなる食事】
    腸内環境を悪化させると、硫化水素やアンモニアなどの毒素が発生し、その毒素は腸から全身に行きわたります。心臓や肝臓などにダメージを与えるほか、吹き出物や下痢や便秘、腸の動きも悪くなり自律神経も乱れます。
    乳酸菌と食物繊維の摂取を心がけましょう。
    カフェインの摂り過ぎ(コーヒーやエナジードリンクの過剰摂取)を控えましょう。

  • 【栄養素が不足している食事】
    カルシウムが不足すると情緒不安定になるなど、神経活動に影響します。
    ビタミンCは精神的な不安、ストレスを除きます。
    マグネシウムが不足すると、落ち着きがなくなるなど、神経活動に影響します。


以上の3点に気を遣って、食に取り組むことも治療の一環だと思います。
東洋医学についても、食材の陰陽の性質・五味五色の調和などの先人の知恵が、大いに参考になります。

食と自律神経の関係については、これまであまり触れてきませんでしたが、自律神経の乱れの背景に「食の問題」が多いのは確かです。
食生活に偏りや異常があると、自律神経のアンバランスや、心の不調を起こしやすくなります。

実際に来院される方の食生活を詳しくお訊きすると、そのようなことを実感することがあります。
鍼灸治療とともに食生活の改善を行うことで、より治療効果が上がり、健康的な生活を取り戻せるようになります。
『規則正しい生活リズムと食生活』とはよく言いますが、生活指針というだけでなく、なるほど健康的に理にかなっているものですね。 続きをみる>