風邪(かぜ・ふうじゃ)風邪はかからず「引く」ものである

めっきり朝晩がひんやりして、周りで「風邪をひいた」という声を聞くことが増えてきました。
そういえば、風邪を「ひく」、とは言いますが、インフルエンザや胃腸炎のように、「罹(かか)る」、とは言いませんね。

「風邪」と書いてフウジャと読む漢字熟語は、れっきとした古典中国語で、『大漢和辞典』にも出てくる言葉です。
「風邪をひく」の語源は吹く「風」と同じ語源であり、古代中国で風は大気の動きであるとともに、人の肉体に何らかの影響を与える原因としても考えられていたといいます。

中国医学では、自然の中で空気が動くことによって、体に色々な影響を与えるものと考えられ、あらゆる病気の原因になると言われていました。その原因となるのが、六邪(ろくじゃ):または六淫(ろくいん)と呼ばれる邪気(じゃき)とされていました。

気候の変化は、寒(かん)、暑(しょ)、燥(そう)、湿(しつ)、火(か):または熱(ねつ)、風(ふう)、の6種類(六気といいます)あります。
その六気の現象が強くなると、病気への原因となり、六邪へ転化します。
それぞれ、寒邪、暑邪、燥邪、湿邪、火邪(または熱邪)、風邪、と呼ばれます。

自然現象の中での寒さ、暑さ、乾燥、湿気、空気の対流で起こる風、熱波、などの温度変化が、人の呼吸や体の皮膚などに、外から体の中に引き入れられて、病気の原因になるという考え方です。
このことから、六邪は季節的な特徴があり、それが東洋医学の考え方にもなりました。

また、この六邪の邪気は、単独で身体に入って発症する場合と、複数になり一緒に作用することがあります。例にあげると、風邪と寒邪はくっつきやすいと言われ、そういった、くっつきやすい邪気の種類によって、体調を崩す原因が2つ、3つとなることもあります。

簡単に言うと、六邪という邪気は、病気の原因となるもののことを言います。吹く風が運んでくる「邪気」を体の中に引き込んでしまうと、かぜという病になる、というように考えられたのです。
なぜ、風邪は「罹る」ではなく「引く」かというと、邪気を引き入れるから、「引く」といわれるのですね。