呼吸法、その効果

4月のなみはや支部の例会では、治療家の身体作りにおいて「呼吸」を採り上げていました。
当院では、患者様にはあまり難しく言わずに、ゆっくり息を吐くことから指導しております。
その後、腹式呼吸なども指導しますが、大事なことは〈ゆっくり息を吐いて力を抜くこと〉
だと考えています。

ストレスで、息が浅く、速くなっている人がほとんどです。
鍼灸治療・経絡治療をすると、呼吸はゆっくり、深くなります。
息が深く吸えるようになったと患者様からはよく言われます。

呼吸法については、今般インターネットなどでも数多くの検索結果が出てきますね。
「4-7-8」呼吸法や、等間隔呼吸法など、安眠に効果的とされています。
自律神経を呼吸法で調整することができる、という記事がありましたので紹介したいと思います。

【加齢とともに副交感神経の活動レベルが低下】

2011年のベストセラー『なぜ、これは健康にいいのか?』(サンマーク出版)の著者として
知られる順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏によると、交感神経の活動レベルは加齢の影響を
受けることはないが、副交感神経は加齢の影響を受け、男性は30歳以降、女性は40歳以降から
副交感神経の活動レベルが徐々に低下していくといいます。

この副交感神経の活動レベルをなんとか高めたいものですが、とはいえ、自律神経は
私たちの意思とは無関係に動いています。はたして、それを意識的にコントロールすることが
できるのでしょうか。

実は、それを可能にするのが呼吸法なのです。
意識的に行う呼吸法の効用については、お釈迦様も「大安般守意経」というお経の中で
説いています。

私たちはふだん無意識に呼吸をしています。
しかし、その速さや回数を意識的にコントロールすることはできません。
この無意識に行っている呼吸を、意識的なコントロール下に置くことで
自律神経の交感神経と副交感神経のバランスをとることが可能となります。

実際に、息を吐く際には、副交感神経が強く働きます。つまり、吐く息に意識を置いた呼吸法を
行うと、副交感神経の働きを高めることができ、交感神経とのバランスがとれるというわけです。

【胸式呼吸は交感神経を活発にする】

呼吸法は、大別すると胸式と腹式になります。私たちはふだん胸式呼吸をしていますが、
とかく呼吸が浅く、短いものになりがちです。しかし、この短い胸式呼吸は交感神経を刺激し、
これに疲労や心の動揺、怒りなどが加わると呼吸はさらに浅く激しくなって、より交感神経が
働くようになります。

短い胸式呼吸では吸い込んだ空気は肺の中にまで到達せず吐き出されるため、肺には炭酸ガス
など不要なものが溜まります。
この状態が長く続くと、血液循環が低下したり、自律神経失調症を招くことになります。

【腹式呼吸は副交感神経の働きを高める】

一方、腹式呼吸は鼻で息を吸いながらお腹をふくらませ、吐く息でお腹をへこませます。
腹圧をかけるため、胸式より呼吸のリズムが自然とゆっくりとなります。

腹式呼吸をすると、肺の下にある横隔膜が上下運動します。
この横隔膜に自律神経が密集しているため、吐く息を意識的にゆっくりとすればするほど、
自律神経を刺激し、副交感神経が優位になりリラックスしていきます。
例えば、睡眠中は意識しませんが、お腹を自然に上下させるような腹式呼吸のため、
ゆったりとしたリズムの呼吸になっています。

こうした複式呼吸を覚醒時に意識的に行うと、自律神経のバランスがとれるわけですが、
これをさらに深めたものに丹田呼吸法というものがあります。

丹田はヘソ下3寸(9cm)のところにあるツボです。
先述のお釈迦様の呼吸法はこの丹田に圧力をかける呼吸法といわれています。
丹田呼吸法も吐く息にのみ意識を集中しますが、呼気の際に丹田に力を入れ、上半身を45度以上
前傾させることで息が多く出ます。

この呼吸法をしばらく続けていますと、脳波がアルファ波へと移行しやすくなりますので、
受験生やビジネスマンは試験前や会議前に行うとヒラメキや直感力が高まることが期待できます。

ストレス社会に生きる私たちは、交感神経が優位になりがちです。
腹式呼吸は誰でも手軽にできる健康法です。
ふだんから意識的に腹式呼吸を行い、心身のリフレッシュを図りたいものです。