月別アーカイブ: 2018年6月

震災後の不眠症状について

先日は、大阪で久しぶりに強い揺れを体感しました。
このたびの大阪府北部地震により、被害を受けられました皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。

当院は被害はありませんでしたが、来院されている方の中には食器が割れたとか電子レンジが落ちて壊れたとかの話を聞きました。また、揺れの強かった枚方・高槻・茨木・摂津 方面から来院されている方もおられます。茨木市・摂津市からでは大阪モノレールを利用しての来院もあります。
モノレールも地震以降は止まっていましたが、便数を減らして再開しているそうです。

当院がある守口市でも、6月18日の地震発生直後から市内の全31避難所を開設していました。
現在は体感できる余震は減ってきましたが、大阪府北部を震源とする余震は35回を超えています。

避難生活では、慣れない環境の中でストレスも増し、睡眠もままならない状況…というのは想像できますが、避難所以外でも、余震の恐怖から逃れられず、寝ていても眠りが浅いためにすぐ目覚めてしまう方もおられます。
「本震よりも余震のほうがストレスを生みやすい」とよく言われるのは、本震の揺れがトラウマになって「またいつか来るのでは」という不安感が強くなり、脳で恐怖が生まれやすくなるためです。揺れていなくても常に揺れているような感じがして、小さな余震でも大きな恐怖につながってしまうといいます。

また、大きな震災後の不眠は、被災地以外でも生じています。被災地にいる親族や友人知人を気にかけたり、繰り返しテレビなどで流れる報道が脳裏から離れず、夜中に不安を感じて寝つけない夜を過ごしたという人も多いといいます。
震災のような大きなストレスを受けたときに、多くの人は不安を感じ、過剰に覚醒した興奮状態になります。(情動の興奮、「情動的過覚醒」というそうです)
これが夜の間中も持続するために、自然な眠りの導入を妨げます。

通常の場合には、不安の原因が解決するにつれて、興奮状態は自然に緩和されて、不眠症状も改善していくようです。そのため、震災後の数週間にみられる不眠に対しては、あまり心配する必要はありませんが、2ヶ月近い長期の不眠は注意が必要です。不眠症状だけではなく、日中に不眠による深刻な問題がある場合には治療も必要になります。

ストレスや不安感は、脳の松果体(しょうかたい)と言う部分を興奮させ、それが隣接する自律神経の中枢である視床下部に伝わり自律神経のみだれ、特に交感神経の過緊張を引き起こし、身体に様々な不快症状を現すようになります。
地震による不眠の他に、交感神経緊張による疲労感も訴えられています。

取り急ぎの不眠解消方法としては、不安を少しでも減らすことです。
例えば、余震が不安であれば避難グッズを準備する・いま一度点検してみる、避難所・避難経路を確認する、地震情報をチェックする、など、行動に移すことで少し気持ちが落ち着くこともあります。

眠りの面でいえば、睡眠時は体を冷やさないことです。
体の冷え、特に足の甲や手の甲が冷たいと、寝つけなくなります。薄着で寝たり・掛布団なしの状態など冷やしすぎないように、場合によっては靴下や手袋をするなどして、できるだけ手先や足先を温かく感じられるように工夫すると眠りやすくなります。

また、日中に活動したり、太陽の光を浴びたりして過ごすなど、昼夜にメリハリを付けると生物時計を調整しやすくなります。朝には燦々と朝日を浴び、反対に夜には明るい照明を浴びないようにしてリラックスして過ごせば、脳に信号が送られて睡眠を得やすくなります。 続きをみる>

梅雨の養生

関西地方も先週に梅雨入りしましたね。
去年よりも14日早く、平均でも1日早い梅雨入りだそうです。

東洋医学では梅雨を「長夏(ちょうか)土」の季節としています。
梅雨入りから梅雨明けの時期、そして8月以降の台風などが来る期間の、高温多湿のシーズンを長夏(ちょうか)と言います。(長夏は東洋医学の独特の概念で、湿度がある季節のことになります。)
また、「土用の丑の日」といわれる土用ですが、四季それぞれの土用(立春、立夏、立秋、立冬の前の18日間のことを指します)の時期も長夏に当てはめています。

《土の季節の養生法》
長夏は、五行の「土」の性質を持ったシーズンです。土には、魔物を生み出し再生するなど【壊】と【創造】という強い力を内在しているので、心身に不具合を起こしやすい時期です。
反対に、この季節をうまく乗り越えられると、一年を健やかに過ごすことができます。

長夏の時期は、何事にも無理をしないことが大事です。
五行説で「土」の季節は、「脾胃」と密接な関係があります。東洋医学の脾胃は、現代医学における胃腸の働きにあたり、飲食物を体内に取り入れ、消化吸収し、生命エネルギーに変換してゆく、大切な働きをしてます。

この季節、脾胃は活発に働くのですが、暴飲暴食などで胃腸に負担をかけるとその働きが低下し、全身倦怠感や手足や顔面のむくみ、食欲不振、口内炎、便秘下痢、関節痛など脾胃の弱りに原因する様々な症状が現われます。消化吸収や血液をコントロールする役割を持っている脾胃の働きが落ちると、生命エネルギーである「気」が作られずに、食欲不振、やる気が出ない、疲れやすいなど「気虚(ききょ)」の症状が出ます。

脾胃は、生命エネルギーである気血を生成して全身に行き渡らせる大事な働きをしていますが、これがうまく働かなくなると、全身に悪影響を及ぼします。高温多湿のこの時期は、通常よりも胃腸に負担がかかるので、胃腸に余力を持たせるよう、腹八分目で、食事の際は良く噛む(咀嚼する)ように心がけましょう。

脾胃の働きが低下すると、身体に不必要な水分(水邪)が停滞し、むくみや身体の重だるさ、関節の痛みやこわばりの原因となります。
水邪を取り除くためには排尿と排便が大切です。腎臓の働きを強めるゴボウ、利尿作用がある豆類を積極的に取るように心がけましょう。
またこの時期は、適度な運動で発汗することでも、体内の水邪を除くことが可能です。

梅雨時期の鍼灸による経絡治療では、主に脾胃の働きを強化するために、脾経と心包経(しんぽうけい)を調整します。また、熱から心を守るために、腎の経絡も合わせて調整することが多いです。腎は温めることで強化できるので、温灸などで腎を補陽します。
他には、夢分流打診術で腹部の調整を行い、水邪を取り除いてゆきます。 続きをみる>

植物の恵に感謝


画像は、治療室で育てているエアプランツと植物標本のハーバリウムです。

「エアプランツ」は土のいらない不思議な植物です。むしろ土に植えてしまうと、蒸れて枯れやすくなってしまうそうです。
育てる手間がかからないことや、ホームセンター・100円ショップなど身近に手に入ることから、インテリアとして流行っていますね。
土に根を張らずに育つことができるのは、葉っぱが空気中の水分を吸収するからなんだそうです。だからといって水やりが不要なわけではなく、ある程度の頻度で水やりをする必要はあります。

室内であればいつでも育てはじめられますが、夏の暑さは苦手なようです。大切に育てていると鮮やかで花を咲かせることがあるとのこと。いつかその姿を現してくれることを楽しみにしています。

また「ハーバリウム」は、もともとは【押し花などを含めた植物標本】のことをさす言葉なのが、最近では【ドライフラワーを透明な液体とともに瓶詰めしたタイプ】のものがインテリアとして注目がされているようです。
瓶の中に満たされている液体は、ハーバリウム専用の特殊なオイルで、この中にドライフラワーやプリザーブドフラワーを漬け込み、生花よりも長く楽しめるのが特徴。その美しい色合いを約1年程保つことができ、贈り物としても人気だそうです。

さて、二十四節気では芒種の暦。
芒種、とは「稲や麦の穂先のように芒:のぎ(とげのようなもの)のある穀物の種まきをする頃」という意味であります。
全国的にも田植えの繁忙期ですね。つい、梅雨の長引く雨がうっとうしいものだと思いがちですが、雨の恩恵を受け、緑豊かにスクスクと育つ様を、私たち人間は感謝しなければいけませんね。 続きをみる>

東洋はり医学会なみはや支部 5月支部会報告

5月27日(日)は、なみはや支部の例会でした。

-----------------------------------------------------------------------------------

いつも通り、今回も有意義な研修ができました。
私が担当している臨床雑話では、最近興味のある距骨(きょこつ)調整について、書籍の紹介と併せてお話ししました。
「距骨を整えれば不調が治る」 監修 志水剛志

全身を支える土台である「距骨(きょこつ)」は、足関節の奥深く、足の脛と踵の骨の間にブロックのように挟まっている骨です。
これが身体の前後左右のバランスに大きな関係があることが分かってきました。

この骨は、どの筋肉にもつながっていないために、距骨自体に痛みや違和感が起こることはありません。立つこと・歩くことなど、ごく普通の日常生活動作でも、簡単に距骨の位置がずれてしまい、その「ずれ」こそが身体全体のバランスを崩して、多種多様な不調を起こすことになります。

多くの方は、距骨が前後、内外に傾いています。
距骨の歪みこそが、外反母趾をはじめ、膝や腰の痛み、肩こりや頭痛、他にも冷えや胃腸の不調・自律神経の乱れなど全身症状についても原因している可能性があります。

書籍には、この距骨のずれを整えるセルフケアの方法も紹介されており、当院でも距骨の調整が必要な方には、セルフケアの方法を指導させていただいております。
鍼灸においても、この距骨の場所には、【申脈】と【照海】という全身症状に対して大きな効能があるツボが存在していて、日々の鍼灸治療に活用しています。
これらのツボの作用が、距骨の調整につながっているのではないかと考えています。

距骨の歪みを整えることで、様々な痛みや不調の無い健康な身体を取り戻していきます。
このことは、私にとっても ひとつの気付き・発見につながったように思います。
申脈・照海のツボを長年使って来ましたが、これが最近分かってきた距骨の働きにリンクして、一つの謎が解けたようで、とても興味深いです。 続きをみる>