月別アーカイブ: 2016年2月

長年にわたる自律神経失調症


70代 女性




もともと若い頃から不定愁訴に悩まされてきた体質で、更年期以降にさらに症状が
強くなったとのこと。

当院に来院されるまで、他の鍼灸院で治療を10年以上続けておられましたが、通っ
ておられた鍼灸院が閉院したため知人の紹介で来院されました。




主な訴えは、全身のだるさ、特に足全体がとても重く感じられ歩行にも支障を来す
ようになり疲労感が強い。

他にも頚肩のこりが強く、頭痛・耳鳴り・めまいを伴い、左右の肩関節にも痛みがあ
り、腕は挙上が困難な状態で、食欲不振や不眠など多くの不定愁訴に悩まされておら
れました。
体調は天気や季節に影響され、雨の降る前など諸症状は悪化します。




この方の場合、特徴的なことは身体のこりの状態がひどく、全身ががちがちに堅く
凝り固まった状態でした。

交感神経の緊張状態が長期間続くと、身体は硬く緊張して簡単には緩まない状態にな
ってしまいます。



東洋医学では、このような状態を血(けつの変動・血のこりと呼んでいます。

筋肉は、肝臓が貯蔵している肝血(かんけつ)によって栄養され潤わされて、適度な
柔軟性としなやかさを維持していますが、肝血が不足することによって、全身の筋肉
は固くしこって自由に動かせられない状態になります。



治療は、経絡(けいらく)治療の全身調整によって肝臓の経絡を調整し肝血を増や
して筋肉を緩めるようにしました。

また足の付け根の部分・股関節周囲と頚部の筋肉のこりが強い部分に対して、直接鍼
を刺鍼して、ゆっくり筋を緩めてゆくようにしました。


経絡治療では、ほとんどが浅い刺鍼あるいは鍼先を皮膚に接触するのみの治療で対
応しますが、血のこりが強い場合には、直接鍼を刺入して治療します。



週2回のペースで治療を始めたところ、4ヶ月ほどで、身体のきついこりは少しず
つ緩み始め、足のだるさや頭痛や耳鳴り・肩の痛みなどの諸症状も軽くなってきまし
た。

週2回の治療を半年間続けて、当初の辛い症状はかなり改善されて元気に動けるよう
になったと喜んでいただけました。

現在は、治療頻度を週に1度にして健康管理の目的で治療継続中です。


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花粉症

 今年もそろそろ杉花粉飛散の時期になってきました。

予報によると、近畿地方では去年の2倍から3倍とか、春なのにうっとうしいシーズ

ンですね。

私も軽いですが花粉症の傾向があるので要注意です。



 東洋医学では、花粉症は春の肝気の上昇に伴って、顔面を巡っている陽明胃経(よ

うめいいけい)に沿って、体内の余分な水分、これを水邪(すいじゃ)と呼んでいま

すが、この水が鼻や目にあふれ出て花粉症の症状を起こす者と考えています。

東洋医学が生まれた古代中国では、花粉症は無かったと思われるので、これは古典医

学の現代的解釈です。



 雨の降った翌日で気温が高めの日は、花粉症の症状は強く出ます。

今年は、特に気温の上がり下がりの度合いが大きいのでより注意が必要です。

気温上昇は、肝気の上昇を起こすので、花粉の飛散量に加えて身体側でも症状が悪化

しやすい状態になっていると考えられます。

ふだんからストレスを抱えている人は、肝気が上昇しやすいので、春のシーズンは特

にストレスに対する対策が花粉症に対しても大事です。



 また胃腸が弱ることによっても、肝気が上昇しやすくなるので、暴飲暴食は避けま

しょう。

濃い味の食べ物をたくさん取っていたりすると、体内に熱がこもって、花粉症の症状

でかゆみが強くなる傾向があるので、食べ物の内容にも気をつけましょう。



 鍼灸治療では、まず肝気の上昇を抑えるために、肝と腎の経絡を整えます。これに

よって上の気を下に引き下げます。

その上で、顔面を巡っている経絡の気の流れをスムーズにします。

鼻や目の症状に対しては頭にあるツボなども用いて。症状の軽減を図ります。

耳たぶの下で顎との間にある翳風(えいふう)と鎖骨の上にある缺盆(けつぼん)を

使えば、リンパの流れが良くなって、顔のむくみが軽減するので、花粉症にも用いま

す。

お灸の応用として使い捨て懐炉を用いることもありますが、これも簡便で有効な方法

です。



 漢方薬では小青龍湯(しょうせいりゅうとう)が有効です。これはもともと風邪に

対する処方で、水っぽい鼻水やくしゃみが出る風邪に用いられます。

もちろん花粉症は風邪ではありませんが、水ばなやくしゃみ症状を目標に処方されて

います。特に顔面部の水邪を取り除くには有効な漢方薬です。

注意する点は、小青龍湯は瀉剤(しゃざい)なので、長期にこの漢方をとり続けるこ

とは避けましょう。

瀉剤とは、水邪のように身体にとって良くないものを取り除くお薬ですが、過常にな

ると体力までも消耗する恐れがあります。

症状の出ている時に使えば問題はありません。





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認知症に音楽療法が有効

 認知症の治療に音楽が有効なんですね。

NHK朝のニュースで音楽療法について取り上げていました。



 その人にとって思い出の深い歌・音楽を聴かせたり歌ったりすると、それに関連し

た記憶が復活するということです。

歌は記憶だけでなく、その歌を聴いていた頃の感情ともリンクしていて、大脳辺縁系

のような脳の深い部分に働きかけるんだと思います。

認知症で失われた、その人の世界が歌によって取り戻せるってすばらしいです。



 また歌を歌うという行為は、複雑な仕事を複数同時に脳に行わせることになって、

脳の活性化血流が活発になる脳には適度な負荷をかけることが認知症の予防にも有効

でしょう。

音楽好きの者にとって、歌がそんな力を持っているということは納得できるし、格別

目新しいことではないように思えますが、医療機関で実際に応用されていて、今後そ

の分野が広がってゆくというのがニュースなんですね。



 私の好きなテレビ番組にEテレの「ミュージック・ポートレイト」というのがあり

ます。

ヒロ寺平さんのナレーションで、ジャンルが違う二人が、自分の人生に関わる10曲

の歌を持ち寄って、人生と歌について語り合うというものです。

持ち寄る歌も、本当に人それぞれで、その人なりの個性があって考え深いです。

自分にとっての10曲は何かなぁと考えるのも楽しいです。

10曲目は、人生最後に聴きたい曲です。



 歌と記憶についてのお話でしたが、私は音そのものにもいろんな働き、たとえば癒

やしの効果があると思っています。

協会や寺院で鳴らされる鐘の音や小鳥のさえずりや川のせせらぎの水音、それらの音

の響きそのものに癒やしの力が備わっているように思えます。



 音の響きは、それ自体空気の波動です。光も波動ですし、量子物理学では物質も振

動しているということになってます。

この世界・宇宙全体も震動しているということでしょう。





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姿勢・ギャップ現象による身体の左右のアンバランス

 私たちの身体は左右対称ではありません。右と左には違いがあります。

顔で左右がシンメトリーであれば、美男美女の条件が一つクリアーということになる

のかもしれませんが、全く左右均等と言うことはあり得ません。



 外見だけではありません。たとえば内蔵の位置にしても、肝臓は右側に、脾像は左

側に、心臓は左寄りにあります。

肺臓は、右側が三葉左は心臓があるため右より小さく2葉です。腎臓は左よりも右が

肝臓が右にあるために低い位置にあります。



 さらに左右のバランスが崩れる原因として、人類特有の宿命的な事情があります。

それは私たち人類は、手を使って道具を操るということです。これが人の人たる所以

かもしれませんね。

この手を使うという動作では、多くの人が右利きです。家の作りや、いろんな道具な

どもほぼ右利きを前提に作られています。

要するに私たちの多くは、右手を多用盂しているということです。



 そうするとどうなるのか。

右手を使い続けることによって、身体のバランスは最初からくずれているるというこ

とになります。

具体的には、右側の肩甲骨は前方そして外方に偏っているのです

そのために上部の背骨は引っ張られて右側に弯曲します。頸椎と腰椎は反対に左側弯

状態になっています。

そして右の背中の背筋、肝臓の裏辺りの筋肉は緊張して固くなっていて、それと反対

に左側の腰部・側フック部は縮んで堅くなっています。

これをギャップ現象と言いますが、私たちは生まれながらにして左右のバランスが悪

くできているということを認識しておいた方が良いです。



 もちろん左利きの人もいるので、ギャップ現象は、あくまでも一般論であって、全

員がそうなっているということではありません。

しかし、鍼灸臨床を通じて、多くの方を観察していると、身体の左右のアンバランス

に、ギャップ現象に当てはまる場合が多いことがわかってきました。



 日常生活でも、この左右の違いを意識して、これをバランスの取れる方向に近づけ

るようにすれば、より身体が軽く動かせたり、スポーツでのパフォーマンスが上がり

ます。また肩こりや腰痛などの予防にもなります。



 具体的には、前方に行き過ぎている右側の肩先を意識的に後方に引き、縮んでいる

左側の腰と側腹部を伸ばすようにします。

運動の前後に行うストレッチでも、この動作を意識的に多めにやると効果的です。



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立春

 本日は立春です。

東洋医学の古典である「黄帝内経」(こうていだいけい)では、この立春を一年の始

まりとしています。

申年も今日からというのが正しいといえます。



 立春は、文字通り春の季節を意味していて、春は風木で肝臓の季節です。

春といっても、まだまだ寒い日が続きますが、立春前後から、冬の寒さの中に、わず

かな春の気配を感じられるようになりますね。



 どうして春が肝臓なんだと思う方もおられると思いますが、この季節と五臓の間に

密接な関係があるとしているのが、東洋医学の大きな特徴です。

私たちの心身と季節・自然との調和を最も重視しているのが東洋医学だともいえます



これを天人相関・天人合一といいますが、自然との調和によって、私たちの身体と心

が健やかに保たれるのです。ちなみに冬は腎臓の季節でした。



 春のこの時期に注意することがあります。

春は風木肝臓の季節で、肝気が亢進しやすくなります。

冬の西高東低の季節配置では北西の冷たい季節風が吹いているのが多いですが、その

中に、この頃から暖かさを含んだ東風が吹くようになります。

この東風によって、肝気が生まれます。肝気は盛んになって、肝の陽気が亢進され、

相対的に肝血(かんけつ)が足りなくなって、肝血不足の状態になります。



 肝血とは肝臓が貯蔵している血液です。肝血は筋肉を養っているので、これが足り

なくなると筋肉の引きつりを起こしやすくなります。

春先には、寝違えやギックリ腰などが多く発症しますが、このような私たちの心身と

季節との関係のメカニズムで説明することができます。

また肝気が盛んになりすぎると、いらいら・不眠など精神不安定な状態にもなってゆ

きます。

よく木の芽時に体調が悪くなる方がおられますが、これも肝気の亢進が主な原因です





 自律神経から考えると、春は不安定になって交感神経が緊張しやすい季節だといえ

ます。

今からの季節は、特に心身のリラックスやストレス対策に時間を使うように心がけま

しょう。



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まぶた びくびくはストレスサイン

ふとしたときにまぶたや口の端がピクピクした経験はありませんか。

たいていの場合、片方だけに起こる症状で、数秒から長くても数十秒で自然に治まる

ものです。

しかしこのような症状が頻繁に起こったり、治まらずにずっと続くような場合もあり

ます。



脳の異常を心配して医療機関を受診される方もおられますが、ほとんどがストレスに

よる交感神経緊張のサインです。

顔の筋肉を動かすのは脳神経の一つである顔面神経ですが、ストレスで自律神経のみ

だれが起こると、この顔面神経が異常な興奮状態になり、顔の筋肉を意思とは関係無

く動かしてしまうのです。



私たちの身体は、ストレスがかかるといろんなサインを出して知らせてくれているの

です

その一つがまぶたピクピク症状です。

日常生活で、まぶたや口の端がぴくぴくしたら、ストレスで交感神経緊張状態になっ

ていると考えて、身体を休めたりリラックスに努めましょう。深呼吸・腹式呼吸など

も有効です。



顔面けいれんの他にも動悸がしたり胸の辺りがざわざわするような感じがする、血圧

が上がるなど、いろんな警告を身体は発しています。

そのまま放置していると、交感神経過緊張状態になって、いろんなトラブルの原因に

もなりかねませんので注意が必要です。



東洋医学では、このような状態は肝の臓の異常と診ます。最近の現代医学でも、肝臓

と筋肉との間には密接な関係があることがわかってきました。

最近になってようやくわかってきた筋肉と肝臓の関係が、古代の中国の医書にすでに

書かれていたというのは驚きですね。



鍼灸治療では、肝臓に関わる経絡(けいらく)の気の調整をしたり、頭のてっぺんに

ある百会()ひゃくえというツボを使って治療します。

足の親指から始まった肝臓の経絡は、頭のてっぺんの百会までつながっています。

足に起こった筋痙攣を、この百会穴を使って治めた経験がありますが、いつもながら

古代人の智恵には敬服です。





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